━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山田順の「週刊:未来地図」 No.021 2013/01/29 東京オリンピック招致失敗が「安倍バブル」の崩壊を招く! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 安倍バブルで、円安・株高が続いています。このままだと、「年末には株価は2万円になる」という声も。しかし、その一方で、投資家はバブルがいつ弾けるか、その時期を見極めようとしています。 そこで、今回は、予測が難しい「バブル崩壊」の時期について、考えてみました。 [目次]──────────────────────────────────― ■メディアも、専門家も、投資家もまだまだ半信半疑 ■日銀の「無期限の金融緩和」の中身に一時的な失望 ■「安倍バブルはいつ崩壊する?」の予想投票 ■欧州が懸念を表眼するのに、なぜかアメリカは沈黙 ■「日本の円安政策はこれ以上容認できない」と米国が言う日 ■ターニングポイントは2013年9月7日のIOC総会 ■ライバル2都市のうち、マドリードがまず脱落 ■なぜ、2024年の開催がパリで決まっているのか? ■イスタンブールが有力なこれだけの理由 ■「安全」「コンパクト」にアピールポイントなし ■バブル崩壊でバブル発生以前より経済が悪化 ───────────────────────────────────――― ■メディアも、専門家も、投資家もまだまだ半信半疑 アベノミクスによる景気高揚感が続いている。メディアはいっせいにこれに乗り、「安倍バブル」としながらも、ここ1カ月間、沸きに沸いている。週刊誌には「日経平均3万円 」とする記事出たり、その反対に「節分天井説」が出たりと、その受け止め方は2分されている。まだまだ続くか、どこかで弾けるか、メディアも専門家も半信半疑で、測りかねている状況だ。 そこで、今回は、今年1年のスケジュールを見ながら、安倍バブルがどうなるかを考えてみたい。 まず、バブル歓迎派、あるいはアベノミクス支持派の見方を見てみよう。 「アベノミクスで本当にデフレ脱却の道筋が見えてくるなら、株価は年末に1万5000円、いや2万円になってもおかしくない」という見方がある。さらに強気なアナリストは「2万円越えは確実」と言う。 しかし、こうした見方は、 期待感だけのことが多い。ただ、ここに経済学者の「 今後、安倍首相自身が言う『インフレ目標2%を断固たる決意で確実に実行できる人』を日銀総裁に選ぶことができれば、株高・円安がさらに加速するはず」という予測が加わると、かなり現実味を帯びる。 ■日銀の「無期限の金融緩和」の中身に一時的な失望 安倍バブルの最初の通過点は、1月22日の日銀の金融政策決定会合だった。ここでは、予定通り、消費者物価の2%上昇を目指すインフレ目標を導入することが決まった。しかし、それに向けての「無期限の金融緩和」が2014年初めからとなったことで、一時的に株価は下がった。 日銀は金融機関から国債などを買って、その代わりに民間におカネを流し込む。この基金は13年末までに101兆円となっているが、この額に変化はなかった。しかも、14年から始まる「無期限の金融緩和」でも、毎月13兆円のペースで国債を買い続けるとしたので、市場は失望した。 というのは、毎月13兆円といっても、そのなかには年間150兆円近くの満期国債の償還が含まれるからだ。となると、おカネの純増加額は毎月約1兆円にすぎない。「これでは緩和する、緩和すると言っただけの『やるやる詐欺』ではないか」と、プロの投資家は見たのだ。 しかし、いったん高まった期待感は、素人の参加もあって萎縮しなかった。安倍首相のアナウンス効果は効いていて、一般国民は、雇用が増える、賃金が上がる、生活が楽になると、なぜかまだ思い込んでいる節がある。 ■「安倍バブルはいつ崩壊する?」の予想投票 私は今回の上げ潮相場が始まったときから、これは実体のないバブルだと思ってきた。実際、そういう見方をする投資家のほうが多い。だから、彼らは投資しながらも、どこで逃げるか、つまりエグジットをいつにしたらいいかを常に考えている。 面白いことに、「安倍バブル」が始まった直後から、ネットでは「安倍バブルはいつ崩壊する?」という投票が行われている。 その投票フォームは、次のようになっている。 ・1月22日の日銀政策決定会合後 ・3月 ・5月(GW頃)… … …(記事全文7,156文字)