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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

仰天!借金に歯止めが利かない法案を民主、自民、公明でつくり解散の唖然!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━          山田順の「週刊:未来地図」    No.010 2012/11/13 仰天!借金に歯止めが利かない法案を民主、自民、公明でつくり解散の唖然! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  お早うございます。国会は解散模様になってきました。  しかし、そのどさくさに、とんでもない法案ができ上がろうとしています。しかも、これを誰も止めようとはしません。メディアも批判しません。  なんと、推進させるような論調だから、驚きです。  今回の特例公債法案が通れば、日本の財政は将来確実に破綻します。そして、国民生活は地獄行き確実です。 [目次] ───────────────────────────────── ■「特例公債法案」は借金してもいいという法案 ■借金を自動的にできる新ルールまでつくる ■自分がやっていることがわかっていない野田首相 ■赤字国債の発行は財政法にも憲法にも違反する ■当初、「10年償還」ということで赤字国債は発行された ■「借換債」というマジックで10年償還が60年償還に ■「60年償還ルール」になにか根拠があるのか? ■償還期間を引き延ばせば、利子の支払いが増え借金地獄 ■私たち国民は国家の債権者でもあり連帯保証人でもある ■「国債買い入れを増額してデフレ脱却せよ」論の罠 ■この先の日本について間違いなく言える「6つのこと」 ─────────────────────────────────── ■「特例公債法案」は借金してもいいという法案 「特例公債法案」を成立させるかどうかで、ここのところの政局は動いてきた。特例公債法案というのは、赤字国債を発行するための法案で、これが成立しないと、年間予算のうちの約38兆円の財源が捻出できなくなり、11月末には財源が枯渇、国民生活に重大な影響が出ると、メディアも大騒ぎしてきた。 「社会保障給付や自衛隊、警察等の活動などの行政サービスに影響が及ぶ」とし、「与野党で争っていないでなんとか早く成立させろ」というのだ。  しかし、冗談ではない。特例公債法案なんて言っているが、これは国の借金を認める法律だ。つまり、借金しないことには、いまの日本は行政が機能しないのである。もちろん、公務員の給料もボーナスも払えない。だから、借金を認めろというが、あなたは、この理屈を変だとは思いませんか? ■借金を自動的にできる新ルールまでつくる  本来は借金しなくてすむように予算を立てる。国の運営も、歳入額に見合って運営するというのが正常だ。家庭でも、収入の範囲で暮らす。借金をするくらいなら倹約してしのごうというのが普通だ。それなら、こんな法案を通してはいけないはずではないか? それがまともな感覚というものだ。  多少、行政サービスが低下しようと、公務員の給料、ボーナスが払えなくなろうと、それのどこがいけないのか?と、私は思う。それなのに、メディアも識者も与野党を批判し、とうとう成立のめどをつけさせてしまった。  11月8日、民主、自民、公明3党は、特例公債法案を15日の衆院本会議で通過させる日程で合意してしまったのだ。自公が解散と引き換えに歩み寄ったから、この法案は与党の賛成多数で可決し、参院でも可決、成立する見通しとなった。    しかも、この続きがあるから、仰天だ。  8日の合意を受けて、協議に入った民主、自民、公明の3党は、財源の裏付けとなる特例公債法案を当該年度の予算案と一体で処理するルール策定に向け協議に入ったのである。これは、予算案が成立すれば、自動的に赤字国債の発行が可能となるということ。つまり、今回のように、毎年、時限立法で特例公債法案を成立させる必要をなくしてしまおうというわけだ。 ■自分がやっていることがわかっていない野田首相  野田佳彦首相は、すでに10月19日の3党首会談で、赤字国債発行に関するルールづくりを自公側に提案している。もちろん、財務省がつくったルールだ。そして、11月9日、3党合意を受けた都内での会合で「毎年、赤字国債を政争の具としてつかう悪弊を断ち切りたい」と強調した。  さらに、10日には、福岡市内での民主党の政策進捗報告会に参加し、法案について「どの政権であっても赤字国債を発行しないと財政運営できない。予算と一緒に処理するルールづくりを含め、今国会中に結論を出していただきたい」と述べた。  開いた口が塞がらない。この人は、自分がなにをしているのかわかっているのか?  この新ルールは、特例公債法案を修正するかたちで成立する。もちろん、時限措置だが、来年から始まり、時限を2015年度ないし20年度までとするという。これで、毎年、赤字国債を発行できるわけで、借金に歯止めがなくなってしまう。 驚くべきだが、この新ルールに自民党も「一体で処理することが望ましい」(石破茂幹事長)と前向きだ。もはや、唖然を通り越している。 ■赤字国債の発行は財政法にも憲法にも違反する
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