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渡邉哲也(作家・経済評論家)

渡邉哲也

第3454回 永田町夏の陣 石破氏の進退と最悪のシナリオ 

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★永田町・夏の陣

参議院選挙の結果を受けても、まったく反省も辞任の気配も見せない石破総理に対し、「引きずり下ろし」の動きが本格化しています。21日夜には、若手グループや麻生・岸田・茂木・旧安倍派を中心とした中堅以上の議員による会合が開かれ、各地方組織でも対応に向けた協議が始まりました。さらに、平日となった昨日には、地方組織から辞職を求める声明が発表され、若手グループも辞任を求める署名活動を開始しています。

これに対し石破総理周辺は「いずれ収束する」と見ていましたが、かえってその姿勢が火に油を注ぐ結果となっています。党内からは「石破氏は自ら辞任しないのでは」という声も強まり、リコールを主張する声や、萩生田氏らによる「下野」を含む対応の要求も出ています。

すでに月内に両院議員「懇談会」(強制力なし)が予定されていましたが、それを前倒しして両院議員総会(決定権あり)への格上げを求める動きが強まっており、リコールの主張にも勢いが増しています。なお、リコールは各県連の過半数と所属国会議員の過半数の賛同で成立し、そのまま総裁選挙へと移行します。これは党内に空白を作らないための、あくまで緊急手段です。

リコールに発展した場合、新総裁による除名手続きも始まると予想されます。ただし、この手続きで除名できるのはあくまで党総裁であり、総理職を辞任させることはできません。総理を強制的に辞任させるには、内閣不信任決議(50人以上の賛同)が必要であり、加えて総理の党籍を排除する必要があります。無所属の総理であれば、自民党が不信任決議を提出しても論理的不整合は生じません。

その際、閣僚には党に辞表を預けることが求められ、提出を拒否した者に対しては除名などの措置が取られる可能性も高いです。

そして、8月1日からの臨時国会では、内閣不信任手続きが進められる見込みです。決議が可決されれば、内閣総辞職または衆議院解散となります。仮に石破氏が解散を選択した場合、自民党は新総裁の下で総選挙に臨み、選挙後の特別国会で首班指名によって新総理が決定されます。

いずれにしても、この時点で石破氏は総理を辞任することになります。あくまでこれは「最悪のシナリオ」ではありますが、現時点で十分に現実的な展開のひとつとなってしまっています。


■石破首相、日米関税協議を見極め近く進退判断…当面の交渉見通しは月内判明か

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20250723-OYT1T50006/

そんな中、読売新聞が総理の進退に関する判断を報じましたが、本日予定されている麻生・岸田・菅による三者会談の動向次第では、その報道が現実味を帯びる可能性もあります。石破氏が事の重大性にようやく気づいたのではないか、という見方も出ています。テレビや新聞でリコールの動きが取り上げられ始め、自らの立場が揺らいでいることにようやく気づいた。そして、居座り続ければ最悪の結果を招くことも理解したのかもしれません。

本来、選挙で三連敗した時点で自ら退陣するのが当然であり、それでも辞任しないのは容認できるものではありません。また、党内でリコールの動きが出た時点で退陣することが自らにとって最善であり、リコール成立の可能性が高まった時点で責任を取るべきですが、石破氏とその周辺にはその認識が欠けているようです。

党内では、岸田氏の側近である木原誠二選対委員長が辞意を表明し、河野太郎選対副委員長も辞表を提出しました。さらに、森山幹事長の引責辞任を求める声も上がっています。森山氏が辞任すれば、官邸と党をつなぐ重要なパイプが断たれることになり、政権運営は一層困難になります。森山氏は現在80歳であり、事実上の引退とみられています。

いずれにせよ、このままでは秋の臨時国会の開催は困難となり、秋までに解散総選挙が実施されるとの予測も出ています。もし内閣総辞職を選んだ場合、新総裁のもとで連立を呼びかけ、賛同が得られなければ首班指名における部分的協力を提案することになります。そして、首班指名後に解散を選択する可能性もあり、「下野もある」という言葉がこの局面で意味を持つことになるでしょう。

共産党から参政党まで、政策面で大きく異なる政党が連立を組むことは考えにくく、結果的に自民党を軸とした組閣に戻るしか道はないと見られています。この際、高市氏を中心に保守系の人材による安倍内閣の継承を図ることで、かつての自民党支持層を呼び戻す可能性が高まり、過半数の回復も見込まれます。参議院では不足が3名であり、無所属議員や一部議員の協力を得ることで過半数の回復も可能です。なお、石破氏ではこの構図は成り立たないという見方が強まっています。

■続投意向の石破首相 きょう麻生氏ら総理大臣経験者と会談へ

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250723/k10014871541000.html 


今回の選挙を含め、報道や世論調査の信頼性は大きく低下しています。報道の信頼性低下については、派閥の解消に伴い、派閥担当記者が遊軍扱いとなったことで、まとまった人数から情報を得る機会が減少しました。現在では、麻生派と官邸の記者クラブだけが存続しており、麻生派は情報漏洩を徹底的に防いでいるため、報道に出てくるのは官邸記者クラブの声ばかりという偏った構造になっています。さらに、新聞社の赤字化や経費削減によって記者数が減り、優秀な記者ほど退職していることから、報道の質自体も低下しています。

また、世論調査の信頼性についても問題が深刻です。若年層や多忙な世帯にとって、世論調査は迷惑電話と認識されており、特に自動音声による調査は不快感しか与えていません。回答者の大半が高齢者やテレビ視聴層であり、時間に余裕のある層に偏ってしまいます。結果として、サンプルに偏りが生じ、調査結果の信頼性は著しく損なわれています。選挙の出口調査ですら信頼が揺らぎつつある中で、電話による自動音声調査はもはや意味を成さない状況です。


■米、フィリピンに19%関税 首脳会談で合意

https://jp.reuters.com/world/us/3VDJJGPHUFIIPO36LNBGFZX4GM-2025-07-22/

■インドネシア、対米関税ほぼゼロに 米は相互関税19%に引き下げ

https://jp.reuters.com/markets/commodities/TNWYKUNDY5MYLOI2MXYMVIR7IM-2025-07-22/

■トランプ氏、習主席と「近い将来」に会談 訪中の招待受ける

https://jp.reuters.com/world/us/JCGMMRBJPFLC7K2EQIYZUR3NNY-2025-07-22/

■マイクロソフト、中国ハッカー集団を特定-文書ソフトの不正侵入

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-07-22/SZT0M0GPFHUY00?srnd=cojp-v2

■イスラエル国防相、新たな対イラン軍事作戦の可能性示唆 核開発再開阻止

https://jp.reuters.com/world/security/P7G3WWYSGFMCHLK36Y2N5JHFFA-2025-07-22/

■米、ユネスコ脱退を表明 パレスチナ加盟「米政策に反する」

https://jp.reuters.com/world/us/QP26DCCILBLDXNB5SG75I6NJX4-2025-07-22/

■テスラ、加州のEV登録台数21%減 マスク氏の政治的発言影響か

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/75WPNMIM5ZJBFFOVUKOEWOGBEA-2025-07-22/

■マスク氏に政界復帰の可能性、スペースXが投資家に「リスク」開示 B

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-07-22/SZTDIVGPL41300?srnd=cojp-v2


■台湾とEU、「外部の浸透」工作に直面=頼総統

https://jp.reuters.com/world/taiwan/WKBQBFUOKVOCLBDAQUIA7KJX7U-2025-07-22/


■東京マーケット・サマリー(22日)

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/W6IFFFFR3JONJBEQ3A2VTNB2Z4-2025-07-22/

■アジア株式市場サマリー:引け(22日)

https://jp.reuters.com/markets/asia/QOQPPGCK5VPGHIOLQB4BHUZPME-2025-07-22/

■欧州市場サマリー(22日)

https://jp.reuters.com/markets/europe/ZFLOHXS3DBKTNJCVBFNZ744ZTA-2025-07-22/

■NY市場サマリー(22日)円続伸、S&P最高値更新・利回り低下

https://jp.reuters.com/markets/commodities/53MDFNKF4JJBTKQCBYSSAXFB4Y-2025-07-22/

… … …(記事全文5,228文字)
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