Foomii(フーミー)

渡邉哲也の今世界で何が起きているのか

渡邉哲也(作家・経済評論家)

渡邉哲也

第3002回 今も続くフランスのアフリカ搾取と反乱
無料記事

ウェブで読む(推奨):https://foomii.com/00049/20230808081834112447 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━     渡邉哲也の今世界で何が起きているのか       2023/08/08  第3002回 今も続くフランスのアフリカ搾取と反乱 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★中央アフリカの反乱 この根底には長年のフランスによる搾取と不満があります。アフリカ諸国は資源の宝庫であり、未開発の資源もたくさんあります。マリでは金が算出し、ニジェールでは金やウランが算出する。これらをフランス系の国有企業が独占し安価に購入してきたわけです。ですから、フランスの原発は二ジュールへの依存度が高い。また、原発企業であるオレノ(旧アレバ)は他国でも原子炉と燃料を供給している。  これに対して、アフリカの人々は搾取されていると考えているわけです。私もその通りだと思います。また、その背景には「CFAフラン」の問題もあります。旧アフリカの国家群は、植民地支配の名残であるCFAフランを利用してきました。植民地からの独立後も経済的に未発展な国が多く、自国の信用だけでは輸入が難しいことから、これが使われ続けてきました。 CFAフラン https://ja.wikipedia.org/wiki/CFA%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3  CFAフランはフランペッグ(ユーロ)であり、固定レートで取引されるため、大きな歪みを生み出していました。それぞれの国の経済状況を反映することなく、ユーロの金融政策に合わせた金融政策となる。また、高いレートで固定されているため、輸出競争力を奪われる。ユーロペッグであるため、自由にユーロが手に入るユーロ圏の企業や銀行には有利であり、金融支配ができる。また、その利用に関しては外貨準備の50%をフランス中央銀行に預けることを義務付けられており、自国での外貨準備が少なく鎖につながれた状態でした。しかし、国際社会と各国からの批判が強まったため、改善を約束しました。(未実現) ■共通通貨ECO導入に向け、ワタラ大統領とマクロン仏大統領が共同会見 JETRO 2020年01月06日 https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/01/69c48335bee10293.html ■フランスがフラン圏西アフリカ諸国との通貨協定批准を閣議決定 https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/06/e57ca47135069b18.html  また、この構造がフランスのアフリカ資源支配を助けてきたわけです。また、社会主義国であるフランスの場合、電力や資源などの企業は基本国有であり、利益の多くが国庫に入る仕組みです。 ■ニジェール EU最大の原発ウラン供給元 フランス採掘にクーデターが暗雲 産経 https://www.sankei.com/article/20230731-VZHWBDJATZLKLOPMWKZ7O3ISJY/  未発達の国であったアフリカも、様々な自由化により多くの情報を得る機会ができました。数十年前まで未開発国の多くでは、一部の特権階級のみが情報と教育を受けられ、特権階級の子弟は旧宗主国(公用語として旧宗主国の言葉を利用しており言葉が使えるため)に留学し、特権階級と宗主国の間で共存共栄の関係を築いていたわけです。 しかし、その実態を多くの人たちが知りえるようになると、それは許されなくなります。また、フランスはそれらの国からの移民を受け入れました。当然、それに伴い情報の壁もなくなります。  これが今回の問題の根底的原因です。そして、そこに宗教問題も絡んできます。アフリカにはイスラムも多く、欧州中東アラブの関係と同じ構図が存在します。そして、ジハードを是とするイスラム過激派軍団も存在するわけです。ボコ・ハラムやISILなど過激派組織が活動を活発化させている。彼らの活動が活発化すると治安が乱れ、政治も不安定化する。旧フランス領の国はフランス軍が支援しています。しかし、その支援が不十分であり、これに対する不満も強いわけです。 ■なぜ一部のニジェール国民はフランスを追い出し、ロシアを歓迎したいのか BBC https://news.yahoo.co.jp/articles/2f7f60a0a60613d1ef574cb325d8004463860029   そして、これにロシアが介入したわけです。本来、ロシアからの脅威に対応するための組織であった西アフリカ中央アフリカ連合とその諸国ですが、フランスからロシアに乗り換える国が出てきてしまった。また、ロシアのワグネルによる支援で軍部が主導する軍事政権が誕生してしまったのです。そして、一番恐れているのは、ドミノ倒しでの新ロシア政権の誕生であり、内戦の拡大です。  このもう一つの背景には、コロナによる経済と治安の悪化、そして、高いインフレによる国民の困窮が原因として挙げられます。本来、資源国であれば、資源インフレの良い影響を受けられるはずですが、資源価格が安く抑えられているとともに、その利益が一部にしか回らない構造にあるからです。当然、国民の不満は政府に向かい、理想主義的な過激思想や共産思想に染まる人も増加します。しかし、それは独裁を生み出すだけであり、恐怖政治を生み出す原動力にもなる。  もうすぐ終戦記念日を迎えます。戦争を肯定はしませんが、大東亜戦争(第二次世界大戦)には、大東亜共栄圏構想と欧米の植民地からの解放がその大義にありました。そして、それに感謝してくれている国も存在します。そして、この戦争によりアジアにおける欧州の植民地構造が崩壊したのもひとつの事実であるのだと思います。だから、日本は欧米に嫌われたわけで、排除の動きが生まれたともいえます。 ■露ワグネルのアフリカにおける動向 −「プリゴジンの反乱」はどのような変化をもたらすか− 笹川平和財団 https://www.spf.org/iina/articles/kobayashi_07.html ■ウクライナ和平案巡るサウジでの国際会合、具体的な進展は乏しく終了 B https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-07/RYZSRWT0AFB401 ■中ロ外相が電話会談、連携強化確認-王氏「中国とロシアは良き友人」 B https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-07/RZ101HT0AFB401?srnd=cojp-v2 ■中国、フィリピンに南シナ海の軍艦撤去求める https://jp.reuters.com/article/southchinasea-philippines-idJPKBN2ZI0IA?il=0 ■西アフリカ首脳、10日に臨時会議 ニジェール情勢協議 https://jp.reuters.com/article/niger-security-idJPL4N39O3Y2?il=0 ■米、1億ドル超のニジェール支援一時停止 クーデター受け=国務省 https://jp.reuters.com/article/niger-usa-aid-idJPL6N39O0BR?il=0 ■焦点:中国で預金膨張、投資に向かわず「流動性のわな」リスク https://jp.reuters.com/article/china-economy-liquidity-idJPKBN2ZI0AI?il=0 ■クレディ・スイスの投資銀行部門、香港の人員8割削減へ=関係筋 https://jp.reuters.com/article/credit-suisse-ubs-asia-idJPKBN2ZI0AR?il=0 ■帝人、中国での自動車向け複合成形材料事業から撤退 環境悪化で https://jp.reuters.com/article/teijin-idJPKBN2ZI061?il=0 ■楽天モバイル、タレック・アミン共同CEOが退任 https://jp.reuters.com/article/rakuten-mobile-idJPKBN2ZI0LK?il=0 ─────────────────昨日の市況──────────────── ■東京マーケット・サマリー(7日) https://jp.reuters.com/article/tokyo-market-summary-0807-idJPKBN2ZI0KH?il=0 ■アジア株式市場サマリー:引け(7日) https://jp.reuters.com/article/idJPL4N39O0O0?il=0 ■欧州市場サマリー(7日) https://jp.reuters.com/article/idJPL4N39O3SS?il=0 ■NY市場サマリー(7日)株反発、ドル上昇、利回り上昇 https://jp.reuters.com/article/ny-markets-summary-idJPL4N39O4F1?il=0 『出展 記載なきものロイター Bブルームバーグ』 ────────────────────────────────────── 本メールマガジンに対するご意見、ご感想は、本メールアドレス宛に返信を お願いいたします。 ────────────────────────────────────── ■ 有料メルマガの購読や課金に関するお問い合わせはこちら   ⇒ info@foomii.com ■ 購読アドレスの変更、配信停止はこちら   ⇒ https://foomii.com/mypage/ ──────────────────────────────────────            著者:渡邉哲也(作家・経済評論家)         ホームページ:http://www.watanabetetsuya.info/          Twitter:http://twitter.com/daitojimari    メールアドレス:info@watanabetetsuya.info ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今月発行済みのマガジン

ここ半年のバックナンバー

2024年のバックナンバー

2023年のバックナンバー

2022年のバックナンバー

2021年のバックナンバー

2020年のバックナンバー

2019年のバックナンバー

2018年のバックナンバー

2017年のバックナンバー

2016年のバックナンバー

2015年のバックナンバー

2014年のバックナンバー

2013年のバックナンバー

2012年のバックナンバー

2011年のバックナンバー

このマガジンを読んでいる人はこんな本をチェックしています

月途中からのご利用について

月途中からサービス利用を開始された場合も、その月に配信されたウェブマガジンのすべての記事を読むことができます。2024年11月19日に利用を開始した場合、2024年11月1日~19日に配信されたウェブマガジンが届きます。

利用開始月(今月/来月)について

利用開始月を選択することができます。「今月」を選択した場合、月の途中でもすぐに利用を開始することができます。「来月」を選択した場合、2024年12月1日から利用を開始することができます。

お支払方法

クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、d払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払いをご利用いただけます。

クレジットカードでの購読の場合、次のカードブランドが利用できます。

VISA Master JCB AMEX

キャリア決済での購読の場合、次のサービスが利用できます。

docomo au softbank

銀行振込での購読の場合、振込先(弊社口座)は以下の銀行になります。

ゆうちょ銀行 楽天銀行

解約について

クレジットカード決済によるご利用の場合、解約申請をされるまで、継続してサービスをご利用いただくことができます。ご利用は月単位となり、解約申請をした月の末日にて解約となります。解約申請は、マイページからお申し込みください。

銀行振込、コンビニ決済等の前払いによるご利用の場合、お申し込みいただいた利用期間の最終日をもって解約となります。利用期間を延長することにより、継続してサービスを利用することができます。

購読する