… … …(記事全文3,273文字)<安全資産のマクロ投資環境>
COMEX金先物相場は3月13日に1オンス=3,000ドルの大台に乗せた。2008年3月に1,000ドル台に乗せた後、12年5ヵ月後の20年8月に2,000ドルに到達したが、それからさらに4年7ヵ月をかけて3,000ドル台が示現した。1,000ドルから2,000ドルに至ったのは、世界同時金融経済危機、欧州債務危機という二つの大型イベントでは不十分であり、20年のパンデミック発生だった。一方、2,000ドルから3,000ドルに至る上昇はそのほとんどが過去1年で実現しており、異例のハイペースでの値上がりが実現している。
金市場の構造としては、やはり2022年のウクライナ戦争前後で分けてみる必要があり、世界の分断が加速した影響が大きい。米ドルや米国債が世界の全ての国にとっての安全資産との前提が崩れ、信用リスクやカウンターパーティーのリスクが存在しない数少ない資産である金が、安全資産としての投資ニーズを独占しつつある。一時期は暗号資産ビットコインがその役割を脅かすような動きもみられたが、20年中盤時点ではまだ金の役割を十分に代替するようなエネルギーまでは認められていない。
【COMEX金先物相場(週足)】