□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2022年7月11日(月)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== WGC「Gold Mid-Year Outlook 2022」を読み解く、なぜ利上げ局面で金価格に強気? =================================== <金利上昇の逆風、それを打ち消す論理> ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)は7月7日、「Gold Mid-Year Outlook 2022」を公表した。骨子としては、「2022年下期は、金利上昇、高インフレ、地政学リスクの再浮上に対処する必要がある」とした上で、短期的には「世界の中央銀行がインフレコントロールのために金融引き締めを行うスピードにけん引される実質金利に反応し続ける可能性がある」との見方を示した。一方で、「利上げは金に対して逆風になり得るが、多くのこうしたタカ派の政策期待は価格に織り込まれている」、「インフレの継続、地政学リスクが、金に対するヘッジ需要を維持させる可能性がある」、「スタグフレーションの可能性から株式や債券がアンダーパフォームする環境も、金に対してはポジティブになるだろう」と総括している。 即ち、各国中央銀行がインフレ対応に本腰を入れる中、強力な利上げ政策が実質金利を押し上げていることが短期的に金価格を抑制する要因になることを再確認している。ただ、こうしたタカ派の金融政策スタンスは織り込みが終わっている一方で、インフレや地政学リスクなどが金に対するヘッジニーズを創出する環境に変化はなく、更にスタグフレーションのリスクから他金融市場のパフォーマンスが悪化していることが、金に対する追い風になるとの見方になる。金市場における強気派の標準的なロジックになる。… … …(記事全文3,551文字)