□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2022年7月6日(水)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 乱高下が続くWTI原油、リセッションへの警戒感は依然として強い =================================== <不確実性が高いリセッションのリスク> NYMEX原油先物相場は、独立記念日の連休明け後の7月5日の取引で、高値が1バレル=111.45ドルに対して安値が97.43ドルと、1日で14.02ドルもの値幅を形成する異常な値動きになった。アジアタイムには、ノルウェー石油業界のストライキに対する警戒感もあって、需給ひっ迫見通しを織り込む動きが優勢になっていた。しかし、欧米タイムにはユーロ圏の低調な経済指標が景気減速懸念を高め、更にユーロ安・ドル高圧力が発生したことで、一気に値崩れを起こす展開になっている。僅か数時間で地合が一変するリスクを抱えた不安定なマーケット環境が維持されていることが再確認できる。 米金融大手シティは、WTI原油の平均価格について、7~9月期が94ドル、10~12月期が81ドルとのベース見通しを示した。一方で、リセッション(景気後退)が発生するシナリオでは、年末65ドル、来年末が45ドルまで下落する可能性も指摘されている。現状では、石油輸出国機構(OPEC)プラスの特別な対応がなければ下値不安は限定されるが、需要環境の悪化でやや上値の重い展開が予想されている。一方、リセッションに陥ることで需要環境が大きなダメージを受ける事態になれば、急落する可能性もあるとの曖昧な見方になる。リセッションに陥ることを前提条件にはできない一方、そのリスクを完全に無視することもできない曖昧な状況から、大きく異なる価格見通しを提示せざるを得ない状況になっている。… … …(記事全文3,238文字)