□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2022年6月15日(水)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== リスクオフ環境が上値圧迫も、高値を維持する原油相場のロジック =================================== <需要リスクが高まるも、大きな値崩れ起きず> 世界経済の先行き不透明感が高まる中、原油相場の値動きも不安定化しているが、依然として高値圏を維持している。NYMEX原油先物相場は1バレル=120ドル台からの一段高には慎重姿勢を見せているが、それでも6月14日の高値は123.68ドルに達し、3月9日以来の高値を更新している。今年に入ってから、これ以上の高値は3月7~9日の3営業日しか経験しておらず、基調としては上値切り上げ傾向が維持されている。 コモディティ市場の目線では、中国で新型コロナウイルスの感染被害が再拡大する兆候が見られることが警戒され更にインフレ対策で米連邦準備制度理事会(FRB)が従来想定されていた以上に強力な金融引き締め策を展開するとの見方が広がっていることが、上値圧迫要因になっている。ともに需要リスクとしての消化が求められており、特に中国でロックダウン(都市封鎖)再開の議論が展開されていることは、コモディティ需要環境に大きなダメージを与えかねない状況にある。また、世界的な株安、ドル高傾向が強くなっていることはドル建てコモディティ相場に共通するネガティブ材料であり、実際に非鉄金属や白金族貴金属(PGM)、更には安全資産とされる金や銀相場も大きく値下がりしている。穀物相場が比較的冷静に高値圏を維持しているが、原油相場も非鉄金属相場などと比較すると相対的な底固さを認めることができ、需給ひっ迫化に対する警戒感の強さが再確認できる状況になっている。… … …(記事全文3,709文字)