□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2022年6月10日(金)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 金相場の新たな論点、リセッションに向けて「予言の自己成就」が始まっている? =================================== <世界銀行はスタグフレーションのリスク警告> マーケットに「リセッション(景気後退)」の声がこだましている。2020年のパンデミックの後遺症から世界経済は立ち直りつつあったが、ウクライナ危機が世界経済に大きな不確実性をもたらしている。世界銀行は6月7日に公表した最新の世界経済見通しにおいて、今年の成長率を2.9%としている。1月時点では4.1%の成長率を見込んでいたが、4月時点で3.2%まで0.9%下方修正し、今回はそこから更に0.3%下方修正している。短い間隔で、比較的大きな下方修正が続いていることで、経済環境・見通しが急変していることが再確認できる。 世界銀行は「世界経済は再び危険な状態にある」として、特に「高インフレと低成長に同時に見舞われている」ことに対して強い警戒感を示している。このため、「世界的なリセッションが回避できたとしても、大幅な供給増加が始まらなければ、スタグフレーションの痛みが数年続く可能性がある」として、特にウクライナ危機で一段と深刻化したサプライチェーンの混乱を解消できない場合、長期にわたるスタグフレーションに陥るシナリオを提示している。… … …(記事全文3,392文字)