□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2022年6月7日(火)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 世界の穀物輸出の15%が停滞? 秋までにウクライナ輸出再開が失敗すると =================================== <トウモロコシの作付けは終了、大豆はまだ作付け失敗のリスク残す> 米農務省(USDA)が6月6日に発表した「クロップ・プログレス」では、米国の作付作業は概ね終了したことが確認されている。5日時点の生産環境は、トウモロコシの作付が前週比8%上昇の94%(前年同期98%、平年92%)、発芽進捗率が同17%上昇の78%(前年同期89%、平年81%)となっている。大豆の作付進捗率は前週比12%上昇の78%(前年同期89%、平年79%)、発芽進捗率が同17%上昇の56%(前年同期74%、平年59%)となっている。4月は穀倉地帯の低温・多雨傾向によって作付け作業に大幅な遅れが生じたが、5月の気象環境は良好であり、6月入りした局面での数値としては概ね平年並みの水準を確保している。 一般的に作付け時期が遅くなると、イールドの下振れリスクが高まる。特に5月下旬や6月に作付けされたものは、高イールドを期待することが難しくなる傾向が強い。夏のホット・アンド・ドライ(高温乾燥)と受粉期が時期的に重なる可能性が高まるためだ。しかし、今季初の作況報告で「良(good)」以上の比率は73%であり、前年同期の72%とほぼ同水準になっている。作付け作業が大幅に遅れたノースダコタ州が63%、サウスダコタ州が67%、ミネソタ州が60%など、北部の作柄環境は相対的に厳しい状態にある。ただ、現時点では作況報告の数値を手掛かりに作柄のリスクプレミアム加算の必要性は高まっていない。天候相場の第一幕は概ね終了段階にあり、次は受粉期に改めてリスクプレミアムを相場に加算するような動きの有無が焦点になる。… … …(記事全文3,803文字)