□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2022年5月31日(火)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 食料版「人道回廊」の設定は可能か、ウクライナ産穀物を巡る最近の動き =================================== <ウクライナの穀物が市場の出てこない構図> 国連食料農業機関(FAO)発表の4月食料価格指数は、過去最高を記録した3月の159.7から158.5まで低下したとは言え、1年前の122.1からは29.8%高と急伸している。もともとパンデミック前後の需給環境の急変、長期化する異常気象ラニーニャ現象の影響で食料需給と価格は不安定化していたが、ここ3か月程度の食料価格急伸については、明らかにウクライナ危機の影響が大きい。ウクライナ、更にはロシア産の食料供給が滞り、国際食料市場ではこの二つの主要な食料生産国を排除した状態で安定的な需給環境を確立できるのか、高いレベルの警戒感を有している。 ウクライナ産の2021/22年度のトウモロコシ需給に焦点を当てると、米農務省(USDA)の1月需給報告時点では生産高が4,200万トンに対して、輸出高は3,350万トンが予想されていた。ウクライナは北半球では米国に次ぐ主要生産国である一方、国内市場の規模は790万トンに留まっており、生産規模に対して輸出規模が極めて大きい生産国になっている。生産量だと米国の10.9%の規模だが、輸出量だと同54.4%の規模であり、米国の半分強がウクライナから国際トウモロコシ市場に供給されている。… … …(記事全文3,725文字)