□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2022年5月9日(月)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 上海ゴム相場が年初来安値を更新、中国経済のリスクが一段と高まっていることを反映 =================================== <中国経済の混乱を反映する天然ゴム相場> 上海ゴム先物相場が年初来安値を更新した。3月下旬の1トン=1万3,000元台中盤から4月には1万2,000元台中盤までコアレンジを切り下げていたが、5月9日の取引では1万2,410元まで下値を切り下げ、ダウントレンドが継続中であることを再確認している。JPX天然ゴムRSS相場は円安効果で大きな値崩れは起こしていないが、それでも4月4日の275.10円をピークに250円の節目水準までコアレンジを切り下げ、3月下旬以来の安値圏での取引になっている。 背景にあるのは、専ら中国の新型コロナウイルスの感染被害拡大だ。「ゼロ・コロナ」政策は明らかに破たんしているが、中国政府は検査で感染被害の拡大が確認されると直ちにロックダウン(都市封鎖)に踏み切る傾向が強く、中国経済見通しに対して強力な下振れ圧力が発生した状態にある。本来であれば、「ウィズ・コロナ」政策への転換で、ある程度の感染被害を容認してでも経済活動を維持すべき局面なのだろうが、習近平・国家主席の肝いりの政策とあって、現状では政策転換の可能性は見通せない状況にある。ロックダウンによる感染被害が十分な効果を得られないのであれば、自然に感染被害が終息に向かうトレンドの確認が求められるが、現在が感染被害の「波」のどの段階にあるのかは事後的にしか検証できないため、ゴム相場は上値を圧迫され易い環境が維持されることになる。… … …(記事全文3,105文字)