□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2022年5月5日(木)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 「噂で売って、事実で買う」、金相場は過剰なタカ派織り込みの是正局面へ =================================== <FOMC後の金相場は急反発> 5月3~4日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されたが、金相場に対してはポジティブな結果になった。COMEX金先物相場は5月3日に1オンス=1,849.70ドルと2月15日以来の安値を更新していたが、5日のアジアタイムには1,900ドル台まで安値から50ドル幅の切り返しが実現している。4月下旬はFOMCで強力な引き締め策が打ち出されるとの警戒感を背景に、米金利上昇・ドル高を背景に急ピッチな値下がり対応を迫られていたが、実際のFOMCはサプライズ感こそ乏しかったがマーケットの警戒しているサプライズ感のあるタカ派姿勢は打ち出されず、いわゆる「噂で売って、事実で買う」展開になっている。 今回のFOMCでは、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を0.50%引き上げ、0.75~1.00%とすることが決定された。3月に0.25%の利上げ対応が行われたばかりだが、1回の利上げ幅を倍増させることで、低金利環境の是正を急ぐことになる。0.50%の利上げ幅は、ITバブルが発生した2000年5月以来のことになる。また、保有資産の縮小(量的引き締め、QT)についても6月1日から開始することを決定した。保有している資産の売却ではなく、償還を迎えた際に再投資を行わない形で、月額だと6~8月は米国債が300億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)が175億ドル、それぞれ減らしていくことになる。9か月以降は米国債を600億ドル、MBSを350億ドルの合計950億ドルを上限ラインに、更にQTを進めていくことになる。金利と量的政策の双方で金融引き締めスタンスを鮮明にしている。前回のQTは月額500億ドルが上限であり、その当時と比較するとほぼ2倍のペースでQTが進められることになる。… … …(記事全文3,114文字)