□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2022年4月5日(火)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 実質金利が急上昇でも高止まりする金相場、ブロック化する世界がもたらすインフレ =================================== <1,900ドル台前半は安定的に維持できる価格に> COMEX金先物相場は、3月8日の1オンス=2,078.80ドルで上げ一服となった後は調整売りを消化し、3月中旬以降は1,890~1,960ドル水準に新たなボックス相場を形成する展開になっている。ロシア軍のウクライナ侵攻、その後の西側諸国の強力な経済制裁が安全資産である金相場を大きく押し上げていたが、パニック的な買いが一巡した後の持高調整に移行している。これと同様の値動きは原油相場などでも観測されており、瞬間的ではなく持続可能性があるリスクプレミアムを織り込んだ価格水準として、1,900ドル台前半に居心地の良さを感じている向きが多い模様だ。 ウクライナ情勢を手掛かりに更に大きく買い進むことが躊躇される一方、インフレ対応で強力な金融引き締めが必要との議論で大きく売り込むことも躊躇されており、概ね3週間近くにわたってボックス相場が踏襲されている。過熱感解消でも1,900ドル水準を支持線に設定していることは高く評価できる一方、早期に上昇トレンドを再開するまでのエネルギーは確認できない状況になっている。ウクライナ危機が本格的な相場テーマに浮上する前の価格水準が1,800ドル前後、ロシア軍がウクライナに侵攻を開始した2月24日前の価格水準が1,900ドル水準であり、それに対する1,890~1,960ドル水準の値位置に対しては、適度なリスクプレミアムを加算した状態と評価できよう。… … …(記事全文3,617文字)