□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2022年3月14日(月)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 原油の脱ロシアを実現するためのシナリオ、実現困難なら需要ショックが必要 =================================== <急騰一服後のスピード調整> NYMEX原油先物相場は、3月7日に1バレル=130.50ドルを記録して2008年7月以来の高値を更新したが、その後は上げ一服となり、100~110ドル水準に新たな取引レンジを形成している。2月24日にロシアがウクライナに侵攻し、各国が強力な対ロシア経済精製を打ち出したことが原油相場の急伸を促していたが、足元ではスピード調整の動きが観測されている。これは貴金属や非鉄金属、穀物相場などにも共通した値動きであり、ウクライナ危機のファースト・リアクション(最初の反応)としてのパニック買いは一巡し、マーケットが徐々に落ち着き所を探る局面に移行していることが窺える。 また、ウクライナの停戦協議が断続的に行われている影響もあろう。ウクライナとロシアの主張の隔たりは大きいと報告されているが、少なくとも停戦協議が決裂するような状況には至っていない。14日には4回目の停戦協議が行われるが、双方の交渉担当者から前向きな発言も聞かれ始めている。ウクライナ代表団のポドリャック大統領府顧問は13日、「数日以内に何らかの成果が出せると考えている」と発言している。また、ロシア代表団のスルツキー国際問題委員長も13日、「この数日で、共通の見解、署名のための文書につながるかもしれない」と発言している。ともに今後数日で何等かの合意が得られる可能性を指摘しており、ウクライナ危機を手掛かりに構築されたポジションの一部が解消されている。… … …(記事全文4,595文字)