□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2021年12月24日(金)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 半値戻しを打診するWTI原油、オミクロン消化と低在庫の再評価 =================================== <「オミクロン」は短期かつ限定された需要ショック> NYMEX原油先物相場は、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」の脅威を受けて、12月2日には1バレル=62.43ドルまで急落していた。8月23日以来の安値を更新する値崩れ状態にあったが、その後は安値修正の動きが強くなっており、クリスマス前の12月23日高値は73.95ドルに達している。「オミクロン」の報告が始まって以降は73ドル水準で上値抵抗を受ける展開が2週間近くにわたって続いていたが、同水準を完全に上抜き、11月26日以来の高値を更新している。10月25日の年初来高値85.41ドルをピークとした急落地合に対する反値戻しが73.92ドルであり、概ね同水準に到達した状態になっている。 11月25日に南アフリカで「オミクロン」が報告されて以降、原油相場に限らずマーケット全体が「オミクロン」のリスク評価を求められている。当初は感染力の強さがクローズアップされたことでパニック的な売り圧力が観測されていたが、その後は重症化リスクの低さがクローズアップされ、安値修正の動きが続いている。重症化リスクが低いといっても、感染者数の増加が止まらなければ医療体制に過度の負担が掛かるため、何も対策を講じないことは難しい。特に欧州では、12月19日にオランダがロックダウンに着手したのがシンボリックだが、行動規制の強化に踏み切る国が相次いでおり、当然に石油需要見通しに対しても大きな不確実性、更には下振れリスクがもたらされることになる。… … …(記事全文3,327文字)