□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2021年11月25日(木)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== バイデン政権の戦略備蓄放出に効果なし、OPECプラス主導の展開が続く =================================== <バイデン政権がSPR放出を発表するも> バイデン米政権は11月23日、米国が保有している戦略石油備蓄(SPR)から最大5,000万バレルを市場に放出すると発表した。米国のSPRは11月19日時点で6億0,450万バレルとなっているため、これはその8.3%に相当する規模になる。放出する5,000万バレルのうち、3,200万バレルについてはテキサスとロサンゼルスにある二つの石油備蓄拠点から石油会社に貸与する形で、12月中旬から数か月をかけて放出することになる。残りの1,800万バレルについては、12月17日に販売通知を行い、市場に放出していく計画になる。これは、米国の石油消費量の2~3日分に相当する規模であり、数量的には無視できない規模になる。 米国では、従来からガソリンを中心としたエネルギー価格の高騰が大きな問題になっていた。家計の可処分所得を実質的に押下げることで、消費者マインドの悪化が景気全体に対してネガティブな影響を及ぼすことが警戒されている。特に、インフレが家計に与える影響が経済的にのみならず政治的にも無視できない問題となる中、大統領の支持率、更には来年の中間選挙への影響も警戒される状況になっていた。このため、石油輸出国機構(OPEC)プラスに対して繰り返し増産対応を行っていたことが報告されているが、OPECプラスは直近の11月会合でも米国などの要請に応えることはなかった。このため、バイデン大統領は連邦取引委員会にガソリン市場の監視を指示するなど圧力を掛けていたが、より即効性のある施策が必要と判断した模様であり、SPR放出に踏み切った。… … …(記事全文3,747文字)
小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~
小菅努(商品アナリスト/マーケットエッジ代表)