□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2021年11月2日(火)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 2012年以来の高値を更新中の小麦相場、食料インフレの最前線となっている理由 =================================== <小麦高、小麦粉値上げ、パン値上げ> 山崎製パンは11月1日、食パンと菓子パンの一部について、来年1月1日出荷分から平均で7.3%引き上げると発表した。小麦価格、油脂類などの原材料価格が全般的に高騰していることに加えて、物流費の増加も報告されており、「企業努力によるコスト吸収の限界を超えた大変厳しい状況」と説明されている。小麦に関しては、他の穀物とは異なり、大部分(約9割)を日本政府がまとめて輸入した後に、製粉会社に売り渡されるスキームにある。2007年3月までは年間を通じて固定的な価格で売り渡される「標準売渡価格制度」が採用されていたが、現在は小麦相場や為替、海上運賃価格などを迅速に反映させる「変動相場制」が採用されている。 このため、製粉会社の販売価格は3月と9月に改定される農林水産省の「輸入小麦の政府売り渡し価格」に強い影響を受けるが、今年は3月に5.5%引き上げられたのに続き、9月に更に19.0%引き上げられている。2020年9月の改定では1トン=4万9,210円になっていたが、21年は3月改定で5万1,930円、10月改定で6万1,820円と、過去1年で合計25.6%もの値上がりになっている。これが製粉会社に値上げを迫り、更にパン価格の値上げにも波及する流れになっている。… … …(記事全文3,820文字)