□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2021年11月1日(月)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 金の需要環境はQ3も改善傾向だが、ETF市場の調整継続が残る課題に =================================== <7~9月期の金需要は、ETF要因で伸び悩む> ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、7~9月期の金総需要は871.5トンとなり、前年同期の876.2トンを4.7トン下回った。昨年10~12月期以来の低水準になる。金需要の伸び悩みは、その殆どが上場投資信託(ETF)需要の落ち込みで説明が付く。金ETF関連投資需要は26.7トンの売り越しになり、前年同期の273.9トンの買い越しから差し引き300.6トンもの需給緩和圧力を発生させている。加工需要は前年同期比175.3トン増の567.1トン、現物投資需要は40.7トン増の261.7トン、公的部門の需要は79.9トン増の69.3トンとなっており、金需要の低迷は専らETF投資の問題であることが確認できる。 7~9月期の金相場は平均で1オンス=1,789.5ドルとなり、前年同期の1,908.6ドルから119.04ドル落ち込んでいる。現物投資需要が一定の底固さを見せる中でも、ETF投資に対してはなお慎重姿勢が目立つ状況になっている。今年は1~3月期に170.0トンの売り越しになった後、4~6月期には40.7トンの買い越しに転じていたが、7~9月期は再び26.7トンの売り越しになっており、売却超過状態のピークが1~3月期だったのか、改めて不透明感を高める状況になっている。… … …(記事全文3,734文字)