□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2021年8月24日(火)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 金相場は1,800ドル回復で往って来い相場に、一段高の鍵を握る「デルタ株」 =================================== <1,800ドル回復で、安値修正は完結> COMEX金先物相場は、8月23日の取引で1オンス=1,800ドルの節目を回復する展開になった。8月の金相場は月初から1,800ドル台前半で底固く推移していたが、8月6日に発表された7月雇用統計が強めの数値になると、テーパリング着手の流れを織り込む動きを強め、9日の1,677.90ドルまで急落していた。しかし、その後は低金利環境に変化が見られないこと、新型コロナウイルスの感染被害拡大、更にはアフガニスタン情勢の緊迫化などを手掛かりに安値修正の動きが強まり、約2週間で急落前の価格水準を回復した格好になる。いわゆる「往って来い」の相場展開であり、改めて100日移動平均線(1,809ドル)、200日移動平均線(1,813ドル)といった長期トレンドラインと交錯する展開になっている。 金融政策正常化のプロセスが進んでいることで、改めて金相場を本格的に買い進むことは難しくなっている。一方で、10年債の実質金利はマイナス1.0%を下回った状態で安定しており、7月雇用統計の発表前後で大きく変化している訳ではない。このため、低金利環境のサポートで急落は拒否される一方、改めて本格的な上昇トレンドを形成するまでのエネルギーはない、中立的な相場環境が続いている。先物市場では、雇用統計の結果をみて売り込んだファンドが、金利上昇が進まなかったことで早めに買い戻し(ショートカバー)に動いている。また、新規で買いポジションを構築する動きも確認されている。ただ、金上場投資信託(ETF)市場からは資金流出が確認されるなど、依然として「弱気の否定」と「強気の再燃」との間には大きな距離感が認められる状況にある。… … …(記事全文3,598文字)
