□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2021年8月23日(月)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 原油相場は3か月ぶりの安値更新、「デルタ株」の脅威を抱えた状態でシーズンオフへ =================================== <「デルタ株」のもたらした不確実性> NYMEX原油先物相場は7月6日の1バレル=76.98ドルをピークに、上値の重い展開になっている。8月18日は65ドルの節目も下抜き、ファンドの投げ売りが活発化した。一時62ドルを割り込む展開に関しては、8月20日が8月限の取引最終日だった影響も大きいとみられる。今年の原油相場は逆サヤ(期近高・期先安)を形成しているが、取引最終日の直前に当限が大きく値を崩し、ロールオーバー終了後に切り返す動きが、ここ数か月観測されている。このため、足元では64ドル台前半までの切り返しがみられるが、それでも価格水準が大きく切り下がっていることは否めない状況にある。 最大の要因は、新型コロナウイルスの「デルタ株」の脅威が高まっていることだ。新型コロナウイルスに関しては、ワクチンの普及によって日常生活を取り戻すことは可能とのストーリーを昨年以降、原油に限らずマーケット全体が織り込んできていた。しかし、「デルタ株」は従来株よりも遥かに感染力が強いことで、今後の世界経済や社会活動の先行き不透明感が急激に高まっていることが、原油市場においてファンドの買い玉整理を誘っている。この問題は将来の予測が極めて難しいだけに、特に短期筋が当面の利益を確定して様子を見たいとのスタンスに傾斜している。… … …(記事全文3,813文字)