□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2021年6月18日(金)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== FOMCを受けて金相場にパニック売り、2年先の利上げを巡る議論 =================================== <FOMCのタカ派評価で急落> 6月15~16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を経て、金相場は大きく値位置を切り下げた。6月上旬は米実質金利が膠着化したことで、1オンス=1,900ドル水準で方向性を欠く展開になった。長期金利低下とインフレ期待低下と二つの指標のバランスが取れたことで、実質金利はマイナス0.8%台で安定化し、上下双方に大きく動く必要性がみられなかったためだ。FOMC前にはイベントリスクから調整売りが膨らみ、1,860ドル水準まで軟化していたが、FOMC後はタカ派のサプライズとの評価から17日の1,767.90ドルまで急落している。200日移動平均線(1,841.80)、100日移動平均線(1,796.30ドル)を下抜き、5月3日以来の安値を更新している。 今回のFOMCの焦点は、1)テーパリングについてのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言、2)当局者の経済見通しの修正状況の二点だった。テーパリングに関しては、2021年1~3月期からの開始が市場コンセンサスであり、8月のジャクソン・ホールで開催される経済フォーラムでの表明がメインのシナリオだったが、今会合で従来よりも踏み込んだ発言が行われるかが注目されていた。ただ、この点に関しては議論を行っていることが報告されるも、「これまで述べてきたように、われわれの資産購入の変更を決める前に、前もって通知する」として、突然にテーパリングに着手するようなことはないことを再確認するのに留めている。… … …(記事全文4,282文字)