□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2021年6月10日(木)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 工業用金属安が圧迫するプラチナ相場、中国のインフレリスクに対する恐怖心 =================================== <工業用金属に対する調整圧力が続く> NYMEXプラチナ先物相場は、5月10日の1オンス=1,281.40ドルをピークに、6月入りしてからは1,100ドル台中盤まで値位置を切り下げる展開になっている。2月16日に付けた年初来高値1,348.200ドルに関しては投機色の強い値動きだったとしても、その後も緩やかなペースで上値・下値をともに切り上げる展開が続いていたが、5月中旬以降は明らかに地合が悪化している。 年初からは専ら需要回復期待を織り込む形で値上がりを進めてきたため、需要環境に何か大きな不確実性が浮上しているのであれば分かり易い。自動車触媒や工業関連需要に下押し圧力が発生し、年間の供給不足見通しが大きく修正を迫れるような動きがあれば、ここ最近の軟調地合は支持できる。また、一定の価格連動性が認められる金相場の急落といった動きがみられた際にも、「つれ安」といったロジックでプラチナ相場の軟化は正当化できる余地がある。しかし実際には、プラチナ需給や他貴金属との価格バランスとは関係なく値下がりしている可能性が高い。… … …(記事全文3,794文字)