□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2021年3月31日(水)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 原油市場にとってのスエズ運河の位置づけ、OPECプラス会合に求められること =================================== <スエズ運河の航行トラブルを振り返る> 原油相場が徐々に落ち着きを取り戻しつつある。NYMEX原油先物相場は、3月8日の1バレル=67.98ドルをピークに23日の57.25ドルまで急落していたが、足元では60ドル台定着を打診する展開になっている。欧州における新型コロナウイルスの感染被害拡大のショック消化が進み、改めて地合を引き締めつつある。新型コロナイルスの新規感染者数は世界全体として拡大傾向にあり、まだ先行きは予断を許さない状況が続く。変異株の感染拡大は欧州に限定されておらず、明確な先行き見通しを描ける状況にはない。ただ、米中の感染被害は抑制されていることもあり、世界全体としての原油需要回復トレンドは維持されるとの信頼感が維持されていることが、原油相場を下支えしている。 3月23日にはスエズ運河で大型コンテナ船Ever Givenが運河をふさぐ形で座礁し、中東・アジアと欧州・ロシアを結ぶ原油流通路が遮断された。29日の離礁まで1週間近くにわたって原油・石油製品のみならず多くの海上輸送が停滞を迫られた。マーケットでは、「欧州の需要が抑制されているため大きな問題にはならない」との楽観的な見方と、「世界の原油・石油製品流出に大きな混乱が生じる問題」との悲観的な見方が交錯したが、結果的には相場環境に大きなインパクトが生じることはなかった。… … …(記事全文3,393文字)