□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2021年3月29日(月)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 欧州コロナでも高止まり続くパラジウム、ロシア供給障害で需給ひっ迫警戒 =================================== <ロシアの鉱山トラブルの直撃を受けたパラジウム> NYMEXプラチナ先物相場は、年初の1オンス=1,081.00ドルに対して2月16日高値は1,348.20ドルに達したが、3月は1,110.00~1,240.40ドルの1,200ドルを挟んだ価格水準で揉み合う展開になっている。需要拡大期待を背景に急ピッチな上昇相場が続いていたが、欧州で新型コロナウイルスの感染被害が深刻化していることもあり、調整売りに上値を抑えられる展開になっている。白金族貴金属(PGM)では、パラジウム、イリジウム、ルテニウムが引き続き年初来の高値水準で揉み合う展開になっているが、プラチナとロジウムに関しては上げ一服感が目立つ状況になっている。 パラジウム相場が高止まりを続けていることに関しては、「欧州の需要不安」よりも「ロシアの供給不安」が優勢になっている結果である。ロシアのノリリスク・ニッケルは3月16日、OktyabrskyとTaimyrskyの二つの鉱山で洪水被害が発生し、3月16日に年間生産ガイダンスの未達が正式に表明されている。この二つの鉱山では2月の段階で掘削作業中に地下水が坑道に流れ込んだことが報告されており、安全確保のために一部の操業を停止しつつ、完全な操業再開の可能性が模索されていた。3月9日には地下水の流入を止めたとポジティブな報告も行われていたが、結果的には完全な操業再開には多くの時間が必要として、生産計画の見直しに着手している。… … …(記事全文3,398文字)