□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2019年08月08日(木)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== サウジ主導で原油安への対応検討が始まる、需要見通し崩壊への答えは? =================================== <利下げの神通力が失われた8月相場> Bloombergは、サウジアラビアの当局者が、他の産油国と電話協議を行っていると報じた。具体的な協議内容については明らかにされていないが、最近の急落傾向は許容できないとして、あらゆるオプションを検討していると発言している。匿名の一人の当局者の発言とあってどの程度まで信頼がおける情報なのか評価は難しいが、一般的にこの種の当局者の発言は原油価格に影響を与えることを意図して行われていることが多く、その直後に当局者からの公式発言で追認されることが多い。近く、サウジアラビアのファリハ・エネルギー相から何等かのメッセージが発せられる可能性も低くなく、原油市場では緊張感が高まり始めている。 NYMEX原油先物相場でみると、6~7月期は世界的な株高の影響もあって底固く推移し、6月5日の1バレル=50.60ドルをボトムに7月11日の60.94ドルまで上昇していた。イラン情勢緊迫化の影響もあって、60ドル台定着を打診する展開になっていた。しかし、7月30~31日の米中通商協議が目立った成果なく終わり、トランプ政権が3,000億ドル相当の中国製品に対する10%の課税方針、更には中国の「為替操作国」指定を行うと、8月7日の取引では一時50.52ドルまで急落している。5月にも米中対立の激化で原油相場が急落していることは経験しているが、その際には米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げ対応を行う方針を明確化したことで、6~7月にかけて投資家のリスク選好性は逆に強くなった。… … …(記事全文3,852文字)