□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2019年08月05(月)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 米中貿易戦争の再燃で金価格が急伸、米実質金利はマイナス化に向かう =================================== <トランプ大統領が米中貿易戦争に火種を提供> 米中貿易戦争の再燃を受けて、金融市場に動揺が走っている。6月29日に20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて実施された米中首脳会談では、トランプ米大統領が対中追加関税の発動を見送り、通商協議の再開で合意した。その流れから米中当局者は協議を本格的に再開させ、7月30~31日には上海で閣僚級会合を開催するところまで漕ぎつけた。ここで漸く米中通商合意を目指す動きも期待されていたが、トランプ米大統領は通商協議終了後の8月1日に、3,000億ドル相当の中国製品に対して10%の課税を行う方針を明らかにした。詳細は不明だが、トランプ大統領はこの追加関税措置を発表するのと前後して、中国が米国産農産物の購入拡大に合意しないことに強い不満を示しており、改めて圧力を掛けることで中国側に譲歩を迫る必要があると考えた模様だ。 米中通商協議では、両国から農産物分野についても協議が行われていたことが確認されている。ただ、中国側は米国産農産物の購入拡大を確約することはなかった。その直前には、中国国営の新華社が、中国企業が米国産農産物購入のために輸入関税の免除を求めるなど準備を行っていると報じていたが、結果的には中国が米国産農産物の購入を行うとの確証を得ることはできなかった。これは、サプライズとまでは言えないが、米国でも秋の収穫期まで残された時間は乏しくなる中、トランプ大統領はしびれを切らした模様だ。… … …(記事全文3,893文字)