□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2019年07月10日(水)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== イラン情勢緊迫化でも原油価格が急伸しない理由を考える =================================== <軍事衝突に向かうイラン情勢> NYMEX原油先物相場は、1バレル=56~60ドル水準で揉み合う展開が続いている。イラン情勢の緊迫化が下値をサポートするものの、本格的に上値を買い進むような動きはみられず、動意を欠いている。イランと米国との対立は緊張感を高めており、中東からの原油供給体制が突然に大きなダメージを受ける可能性が高まっている。一方で、世界経済の減速傾向から需要見通しに対しても下振れ圧力が強くなっている。結果的に、「供給の下振れリスク」と「需要の下振れリスク」が綱引き状態になり、明確な方向性を打ち出せていないのが現状になる。 まずは供給サイドだが、中東では5月に4隻、6月に2隻の石油タンカーが攻撃を受け、地域の政情が不安定化していることは間違いない。未だに犯行主体は特定されておらず、今後も分からないまま有耶無耶になる可能性が高い。ただ、原油輸送のチョークポイントであるホルムズ海峡付近で相次ぐ石油タンカーに対する攻撃が何も意味を有していないはずはなく、米政府はイラン犯行説を採用している。… … …(記事全文4,113文字)