□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2019年07月03日(水)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 米中首脳会談前後で変わらなかった金相場環境、弱気派のストーリー否定される =================================== <弱気派の描いていたストーリー> 金相場が改めて騰勢を強めている。6月上旬の1オンス=1,300ドル台前半から25日の1,442.90ドルまで急伸した後、金相場は上げ一服となっていた。6月中旬以降の金相場急伸は主に米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げサイクル入りを先取りする動きだったが、ここにきて一部の当局者が利下げ対応に慎重姿勢を強調し始めていることで、過度の利下げ期待が後退していることが調整売りを誘った。また、6月29日の米中首脳会談では、通商協議の再開、米政府の対中追加関税の発動見送り、華為技術(ファーウェイ)と米企業の一部取引要因など、想定されていた中では比較的良好と言える結果に終わったことも、金相場を押下げた。 金市場の弱気派が描いたストーリーは、米中対立が一段とエスカレートするリスクが軽減し、場合によっては通商合意に近付く可能性も浮上する中、FRBの利下げを巡る議論は後退するというものだった。6月18~19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、声明文で「適切に行動する」として、低インフレや景気減速リスクに政策調整で対応する可能性を強く示唆した。また、当局者の金利予想であるいわゆる「ドット・チャート」では、半数近いメンバーが年内2回の利下げを想定していることが示された。パウエルFRB議長もFOMC後の記者会見で、利下げ支持の声が広がりを見せていることを報告している。… … …(記事全文4,619文字)