□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2019年05月24日(金)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 原油価格と株価との不思議な関係、原油価格は株価に引っ張られているだけ? =================================== <米中対立で急落した原油相場> 5月23日のNYMEX原油先物相場は、1バレル当たりで前日比3.51ドル安の57.91ドルと急落した。下落率は5.7%であり、3月12日以来となる約2ヵ月半ぶりの安値を更新している。Reutersの市況解説では「通商摩擦によって需要見通しが悪化した」影響が指摘されている。すなわち、米中間で貿易、更にはハイテク企業取引を巡る対立が先鋭化する中、世界経済の減速リスクが石油需要見通しも悪化させており、それを反映する形で原油相場は値下りしたとのロジックである。 5月21日には経済協力開発機構(OECD)が2019年の世界経済成長見通しを3月から0.1%引き下げて3.2%としていたが、先行きのリスクとして、1)貿易制限のさらなる拡大による投資・雇用・消費への弊害、2)中国経済の急減速の世界中の経済活動への影響、3)民間部門の債務を指摘している。特に今回の下方修正は、米国と中国とが制裁・報復関税引き上げを実施したことを反映したものであり、追加関税で米国は0.2%、中国は0.2%強の成長下振れを強いられるとしている。米中対立が一段と激化する事態になれば、世界経済の成長率は更に0.6%引き下げられるリスクも指摘しているが、そのリスクが高まったとの評価が、原油相場を下押ししている。… … …(記事全文3,904文字)