□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2019年05月10日(金)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== 通商リスクよりも人民元安を重視する上海ゴム相場、中国の通貨政策に注目したい =================================== <中国政府は人民元安を黙認、推進か> 米中貿易摩擦が再び深刻化しているが、天然ゴム相場に対する影響は限定されている。上海ゴム先物相場は4月30日の1トン=1万1,205元をボトムに5月8日の取引では一時1万2,040元まで上昇し、その後も1万1,000元台後半の値位置を維持している。決して急伸している訳ではないが、通商リスクが資源価格全体を押し下げる中にあって、相対的な底固さを示した格好になっている。CRB商品指数は先週末の181.77ポイントに対して9日時点では179.00ポイントまで1.5%下落しているが、ゴム相場はやや独自色が目立つ値動きになっている。 ただ、ゴム需給に関して何かポジティブな材料が浮上している訳ではない。上海ゴム相場の上昇は専ら中国通貨人民元相場の急落に基づくものであり、通貨要因で人民元建てゴム相場が値上がりしているに過ぎない。昨年11月以降、米中貿易摩擦が人民元相場を押し下げる動きは見られなくなっていたが、今週は人民元相場が久しぶりに通商リスクに対して敏感に反応している。対ドル相場だと、5月3日の1ドル=6.7322元が9日には一時6.8634元を付けている。人民元相場は僅か4営業日で1.9%下落した格好であり、1月8日以来となる4ヵ月ぶりの安値を更新している。このため、「通商リスクを背景とした商品安」と「人民元安を背景とした人民元建て商品高」の二つの流れが交錯し、上海ゴム相場は横這いから若干の上昇地合を形成しているのが現状になる。… … …(記事全文3,847文字)
小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~
小菅努(商品アナリスト/マーケットエッジ代表)