□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2018年12月07日(金)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== ロシア抜きで政策を決断できなかったOPEC総会、加速するOPECの凋落 =================================== <メディアも報道に迷ったOPEC総会> 石油輸出国機構(OPEC)は12月6日、本部のあるオーストリアのウィーンで第175回総会を開催した。2019年の供給過剰見通しが原油価格を強力に下押しする中、今総会の焦点は過剰供給圧力に対してOPECとしてどのような対応策を講じるかとなっていた。6月の前回会合でイラン産原油の供給減少リスクにどのように対処するのかが議論されていたことと比較すると隔世の感もあるが、このまま政策調整を放棄して原油相場の値崩れを黙認するのか、それとも生産水準を引き下げることで原油相場を下支えするのかが問われていた。 国際原油需給の視点であれば、OPECに対して何が求められているのかは単純かつ明確である。11月OPEC月報をみてみれば、世界石油需要とOPEC非加盟国の産油量との差で定義されるOPEC産原油の推定需要(Call on OPEC)は2018年の日量3,259万バレルが19年には3,154万バレルまで105万バレル減少する見通しになっている。総需要が129万バレル増の1億0,008万バレルとなるが、非OPECの産油量が223万バレル増、液化天然ガス(NGL)供給が11万バレル増となる結果、仮に10月時点のOPEC産油量(3,290万バレル)を維持し続ければ、19年は年間平均で136万バレルの供給過剰が発生する計算になっている。1年間(365日)だと4億9,640万もの在庫積み増し圧力であり、経済協力開発機構(OECDD)加盟国の商業在庫が28億~29億バレル程度を推移している現在の国際原油需給環境において、もはや放置できるような状況にはない。… … …(記事全文5,429文字)
小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~
小菅努(商品アナリスト/マーケットエッジ代表)