□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2018年10月23日(火)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ =================================== パラジウム価格が金価格を上回る時、2014年以降の貴金属スプレッドの延長線 =================================== <歪みが続く貴金属スプレッド> 貴金属市場間のパワーバランスが大きな歪みを見せている。伝統的な価格バランスは「プラチナ>金>パラジウム>銀」となっているが、2015年1月以降は「金>プラチナ」の関係が定着しており、しかもその価格スプレッドは拡大傾向を強めている。一方、昨年9月以降は「パラジウム>プラチナ」の関係が定着しており、同スプレッドも拡大傾向を強めている。更に言えば、「金>パラジウム」の関係は維持されているが、同スプレッドは急速に縮小しており、このまま現在のトレンドが維持されると「パラジウム>金>プラチナ>銀」と、銀相場以外の価格バランスは教科書的な理解とは正反対の状態が実現する可能性も高まっている。 全体的なトレンドとしては、金相場がほぼ横ばいで推移する一方で、プラチナ相場が急落し、パラジウム相場が急伸していることが、貴金属市場間のパワーバランスに大きな変動をもたらしている。例えば、2015年の年初と今年10月22日時点の価格水準を比較すると、金相場が38.40ドル高(3.2%高)、プラチナ相場が381.40ドル安(31.7%安)、パラジウム相場が312.85ドル高(39.4%高)となっており、プラチナ相場とパラジウム相場のトレンドが正反対の方向性になり、金相場が明確なトレンドを形成できていないことは明らかである。直近1年間(2017年10月23日~18年10月22日)でみると、金相場が56.30ドル安(4.4%安)、プラチナ相場が104.70ドル安(同11.3%安)、パラジウム相場が157.75ドル高(16.6%高)であり、パラジウム相場が貴金属市場の中で一人勝ちを演じる中にあって、金相場とプラチナ相場のパフォーマンス低下が進んでいることが確認出来る。… … …(記事全文4,162文字)
