□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 小菅努のコモディティ分析 ~商品アナリストが読み解く「資源時代」~ 2015年10月19日(月)発行 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ご購読ありがとうございます。ドル建て金相場は、9月米雇用統計がネガティブ・サプライズとなった後の戻り歩調が続いています。単純に「利上げ先送り観測」と説明されるマーケットですが、最近の当局者の発言、米経済指標、内部要因データなどから、金相場が置かれた現状を再考します。また、中国の金準備政策についても、最新の動きを簡単に紹介します。 =================================== 金相場は200日平均を突破、経済指標とコンセンサスに大きなギャップ =================================== <金市場に対する資金資金の流入続く> COMEX金先物相場は、2011年9月の1オンス=1,923.70ドルをピークにダウントレンド入りし、今年7月には1,072.30ドルを記録した。異例な低金利政策はなお維持されているが、三段階にわたる量的緩和政策(QE)が過剰流動性を作り出す流れにブレーキが掛かる中、安全資産である金市場に資金を滞留させておく必要性が薄れた結果である。従来は米連邦制度理事会(FRB)が有事対応として導入してきた各種金融緩和策が、ドルの通貨価値を毀損し、その裏側展開として強力なインフレを引き起こす事態に対する警戒感が、ドルの代替通貨である金で購買力を確保する動きにつながっていた。しかし、こうした「金融緩和→インフレ」見通しの破綻が、敢えて無金利・無配当資産である金を保有する必要性を低下させている。… … …(記事全文5,663文字)