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ビジネス知識源プレミアム(660円/月:税込)Vol.1389
<Vol.1389号:増刊:141円への円高の理由>
2023年12月10日:大量の国際的なマネー移動の時代ホームページ https://www.cool-knowledge.com
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著者へのメール yoshida@cool-knowledge.com
著者:Systems Research Ltd. Consultant吉田繁治
『金利と通貨の大転換』の応募を締め切って抽選をしました。期間中123名の申し込みがあり、すでに買われている方も10%くらい混じっていました。
5冊しか送る本がなく、申し訳ない気分です。以下の方が、当選されました。お住まいの市と名字だけを記します。西日本に偏っていますが意図はなく偶然です。応募の県は、全国に分布していました。
宝塚市 佐藤様
明石市 木原様
金沢市 森田様
熊本市 古閑様
渋谷区 末原様
月曜日に、郵パックで。(下手ですが)サインを入れて送ります。応募された方、それぞれの感想は、今後のメールマガジンの参考になるものでした。ありがとうございます。火曜日か水曜日に届くでしょう。アマゾン本には以下の、当方のサイトでリンクしています。ジョークでしょうが「家宝にする」という方も数名でした。プロローグでも「2回読んでください」とお願いしています。
重要な文章や単語は、版面はスマートでなくなりますが意図して、ゴシック体にしていますので、それをたどっていくと早いでしょう。原因になる理由は、細かい文字にしています。400ページを350ページにしたので、文字が詰まっている印象でしょうか。「原因」→「論理」→「結果または確率的予想」のつらなりで、書いています。全体にわたって、予想や変動の根拠を示すことに注力しました。
https://nikkei225jp.com/nasdaq/
【通貨の変動】
12月7日には一時1ドル141円の円高があり、一瞬、「あれっ
」と思ったころでした。その後は戻し、今は144.9円付近です。23年11月の151円からは、6.1円(4%)の円高です。外為は、レバレッジをかけている投資家が多いので、仮に5倍のときは1日で1%(1.4円)の変動が5倍になります。
投資額(FXの証拠金)に対する損益では、通貨変動がもたらすものは、全部の金融商品に及ぶので大きい。外為の通貨は、外貨株、債券、金や原油のコモディティなど、すべての金融商品の価格に影響します。
例えば、もっとも円株の売買が大きく、東証の売買(1日3.5兆円あたり)の約70%を占めている米国ファンドにとっては、ドル・円が4%下がると、ドルから見れば、円建ての日本株は4%下がります。
金価格ではドル建てで上がっていても、その上昇率以上の円高になると、円建て価格では、下がったかのようになります。
貿易の実需のドル売買の約100倍の、ドル/円の、投資的・投機的売買があります。ドル・円の売買は1日1兆ドル(145兆円)もあるのです。国債、債券、株式に比べても圧倒的に外為の売買が大きい。
国際金融市場とは、「通貨の売買」です。投資家のいろんな「思惑と予想」から、ドル・円が売買されています。まさに、「資本の自由化」。通信回線上の通貨には、インターネットと同じように国境がない。
今回の円高(といっても4%ですが)には、以下の理由があったと思っています。
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(1)23年11月の米国のインフレ鈍化から、2023年12月の利上げは消え、2024年は、逆に、「利下げが確実になった」と、金融市場の投資家の、ほぼ90%が見ていること。
(2)一方で、植田日銀は「1ドル150円を過度の円安」と見ていて、円安の原因である。短期金利ゼロ%を解除する可能性が出てきたこと。
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米国の10年債の金利は、6か月前の23年5月は5.4%と高かった。現在は4.3%付近です。
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一方で23年10月には、0.95%とYCCの1%に迫った円の10年債の金利はいま、0.77%付近に下がっています。日銀が、「国債の指し値買い」をして金利を下げた(価格は上昇した)からです。
日米金利差(イールドという)が、4.3-0.77=3.53%へと縮小し、米国金利は下がる傾向であって、円金利は上がる傾向であると投資家が見た「織り込み相場」が144円台です。
2020年のコロナ前の1ドルが107円から108円あたりだったころの、日米金利差は1.5%付近でした(現在は3.53%→1ドル145円の円安)。(日米金利差と、ドル・円のレートの相関)
https://am.jpmorgan.com/jp/ja/asset-management/per/insights/market-insights/guide-to-the-markets/guide-to-the-markets-slides-apac/fixed-income-currency/gtm-jp-usjaintratedif/
この相関グラフには、原理的な意味があります。ただし・・・実際のドル・円の相場では、直近の金利差だけでなく「3か月くらい先の日米金利差の予想」を投資家が心のうちに折りこんで、ドル・円の通貨ペアを売買されています(「織り込み」という現象、投資家の80%がこれでしょう。世界中で金融投資が多額になって、即時になったからです。)
現在は、「2024年の、米国金利の低下、円金利の上昇」を予想する人が多数派です。このための、円高です。金利差の縮小の傾向はあるので、「(ホルムズ海峡の危機を除いたとき)ドル高の18か月は終わった感じ」しています。
【日本の重大な危機】
仮にホルムズ海峡が封鎖されれば、原油・天然ガスを自給できる米ドルは上がり、ほぼ100%輸入国の円は暴落して原油・天然ガス高騰します(金も上がります)。原油は、価格が高くなったら買わなく済む選択財でない必需財ですから。
原油価格は、輸入1位の中国と、消費1位の米国の、2023年の景気低下から、1バーレル71ドル台と、23年9月の95ドルから25%も下げています。
https://fu.minkabu.jp/chart/wti
70ドル台では、OPECの湾岸諸国の財政が赤字になり、産油国のロシアも外貨収入が減るので、パレスチナ・イスラエル戦争の最中は「危ない」のです。
原油の相場は、OPECと米欧のエネルギーメジャー(国際運輸と卸)から、価格が操作されている市場です。
ホルムズ海峡のタンカーの航行は、直接にはイラン次第です。機雷を浮かべるか、保険のかかった古いタンカーを1隻沈めれば、航行ができない。日本は即座に「油断」になります。(注)備蓄は60日分、海上の航行中のタンカーが30日分です。備蓄を使うときは、政府が供給を制限します。ガソリンスタンドの30%から50%に、制限した量を供給することが決められています。電気は計画停電になります。
米国のネオコンには、これが分かっています。米国はエネルギー自給国であり、輸出しています(360万バーレル)。自国の利益にもなる原油を100ドル以上に上げるため、イランの海峡封鎖には協力するかもしれない。(注)米国は、日量360万バーレルを欧州・韓国に輸出(2022年:前年比22%増加)
仮に、ホルムズ海峡が封鎖されれば、ガソリンは1リットル300円、500円。電力供給も制限され(計画停電)、工場での生産と、商品物流が10%、20%、30%・・・と減っていくでしょう。日本も発電がなくなって水と食料が十分でないパレスチナのガザ地区のようになる。
他方で産油国とエネルギーメジャーは、莫大な利益を得ます。原油が上がっても、米国は、エネルギー自給&輸出国なので構わない。米国依存を続け、自国でのエネルギーと食料の安全保障がなかった日本の政治の欠陥が、一挙に露呈します。1945年の敗戦に似ています。
日本国民にとっての「南海トラフ並みの危機」がホルムズ海峡の油断です。政府は、停止しているロシア原油の輸入への道を開く政治であるべきです。政府のミッションは、エネルギーと食料の安全保障でしょう。リアルポリティックがなく、米国が守るという安逸な幻想の世界を生きている、自民党と野党の政治家と岸田さんは、何をやっているのか。
〔原理〕保険は病気や怪我がないときにかけ、安全保障は安全なときに行うべきものです。危機になってからでは間に合わない。まだないホルムズ海峡の危機は、ここまで・・・。
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【続ければ・・・円高になっていくと・・・】
円高になると、円建ての日本株は、上がったドルからは下がったように見えるので、米国ファンドは一般に「売り」を増やします。
→日経平均は12月6日の3万3445円から、今日は3万2307円へと1138円(円高に見合う3.3%)下げています。
金価格も、国際的なドル建ての卸価格を、1グラムの円建てに変換するので、ドル価格が上がっていても、円高では円高の分下げます。
株価や金融商品の、短期的価格の動きのほとんどは、コンピュータアルゴリズムでの、自動高速売買(HFT)で決まります。
「2024年の日米金利差縮を予想→円高・ドル安の傾向が出る→下がる予想の日経平均の売り」というロジックです。株式市場では、内外のコンピュータからのHFT売買が約70%です。
人間は金融商品の、ポートフォリオの構成比の変更のとき、関与します。世界における日本株のシェアは、株価の時価総額に比例して5%付近でしょう。米国株が40%あたりか。
金融市場は、米欧と中国の、銀行・ファンド・シャドーバンクの巨大含み損には目をつぶっていて、高い塀の上のダンスを踊っています。売買のダンスに付き合うのもいいでしょうが、「反対の兆候が出たとき」逃げる準備は必要です。
◎株投資の、一般的な原則を示します。
まず大切なことは、大きな利益を狙わないことです。
以下は、短期売買のときです
(注)金などの「ドル平均法」での買いは別です。ドル平均法は、価格が上がっても下がっても、自分のマネーにとってムリのない一定額を、バカになって買い続ける方法です。結果は、高いときは少なく買い、安いときは多く買うことになるので、保有の平均原価が、1年遅れて動く200日(=1年)の移動平均に、近づいていきます。
金は、短期で売買する金融商品ではないでしょう。金は、長期的には上がるとみているので(6か月先、1年先、3年先)、ドル平均法は有効です。なの、金価格の変動(ボラティリティ:VI)は、年間で13%程度と、一般に株価より変動幅は狭い。S&P500の1年平均でのVIは15%から20%付近です。日経平均も15%から20%です(1年平均)。変動リスクが、株価は金より50%くらい高い。
https://indexes.nikkei.co.jp/nkave/index/profile?cid=5&idx=nk225vi#section-gist
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(1)買ったときより約10%上がったとき(これをあらかじ決めておく)、利益確定の売りをする。続けて買うときは、新しい価格で買う。10%といっても、仮に3倍のレバレッジなら30%の利益です。
(2)買ったときより5%下がったときは、今後、反発して上がると思っていても、「損切り」をして現金にしておき、次の機会を待つ。上昇を期待して、持ち続けることが、より大きな含み損を作ることがある。
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【その理由の、まとめ】
3か月の短期で、株価・仮想通貨が上がるか下がるかは、50:50の確率であり、世界の誰も、予想を5回続けて当てることはできない。3回あたっても丁半賭博やルーレットの赤/黒のような、偶然での当たりです。(注)長期の株価は、企業の次期純益予想、GDPや金利のファンダメンタルズ予想による部分が大きくなる。
「新聞などが書く理由は後付けもの」です。論理では「上がったから上がる、下がったから下がる」という同義反復しか言っていない。
「上がったから、今後も上がる、下がったから今後下がる」というトレンド・フォローの傾向線を表現しているのです。市場の構造が変わるとき、これでは損をします。
証券会社の、営業のポジショントークも、同じ類いです。証券会社は売買が増えると利益が出る商売です。常に、推奨銘柄の買いを煽る。推奨銘柄になるものは、近い過去に上がった金融商品です。つまり「上がってきたから、今後も上がる」としか言っていないのです。そのための、後付けの理由を言っているのです。
新商品の開発成功のケースでは、近いインサイダーには、前から分かっているので、インサイダーの犯罪にはならない方法を使って買っていて、発表の日にはもう売買の均衡価格になっています。
〔最近の大きな事例〕ハマスのイスラエル攻撃(10月7日)の1週間くらい前、イスラエル株の空売りと先物売りが、特定の投資家で増えていたという報告が出ています。
2001年の(企画され、予想されていた)9.11の直前の空売り、先物売りと同じ現象です。人間が起こすことには目的があります。毎回、知っていたグループが存在しているのです。
「大きな事件」は、こうしたものであることが多い。今後で言えば、「湾岸原油の通路であるホルムズ海峡の、軍事危機による封鎖の前には、ほぼ100%の確率で、原油の大量の先物買い、円の売り、日欧株の大量空売りと先物売り」があるでしょう。
大きな危機であるほど、偶発的ではない。
100%とは言いませんが、計画されていることが多かった。
若干高級なら、標準偏差(VI:ボラテリティ)の幅のトレンドフォローです(ボリンジャーバンド)。あるいは、加重移動平均である指数平滑のMAC-Dです。これも、過去の結果を、近い未来に延長する「推計の統計学」でありトレンドフォローです。AI予想は、予想の要素が増えていすますが、これもトレンドフォローです。
〔原理〕3か月以内という近い未来の株価は、50:50であり、誰にも分からない。
過去5000日(25年)の日経平均をサンプルにして調べると、「終値が上がった日、差下がった日」の出現は、見事に2500:2500でした。数日や1週間、上げや下げが続くときはありますが、1年では50%:50%でした。
(注)3か月以上、または6か月以上の株価は、ファンダメンタルズの傾向予想を織り込んで動くことが多い。
【後記】
老婆心(おばあちゃんの心)ですが、「私はこうやって5億円儲けた」という類いの本は、過去の結果をいうものであり、未来への同じ実践に適用ができないものも多く混じっています。判断力のある人には参考になる部分もありますが、サルマネは危険です。
「私はこうやって5億円損をした」という本が出れば、参考になります。こういった本は、出版されませんね。なぜでしょうか。儲けは言いたい、損は言いたくないのが人情か。【プレミアム読者アンケート&感想の、項目のメド】
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