Foomii(フーミー)

ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊を超える情報価値をe-Mailで

吉田繁治 (経営コンサルタント )

吉田繁治

ビジネス知識源プレミアム:土曜増刊:理解されていないキャッシュフロー(2)中編
無料記事


<1ヶ月にビジネス書5冊を超える知識価値をe-Mailで>
ビジネス知識源プレミアム(660円/月:税込)Vol.1387

<Vol.1387号:増刊:理解されていないキャッシュフロー:金融リテラシーの基礎の基礎(2)>

 2023年12月2日:政府の、財源の追及


ホームページ https://www.cool-knowledge.com
購読管理 https://foomii.com/mypage/

著者へのメール    yoshida@cool-knowledge.com
著者:Systems Research Ltd. Consultant吉田繁治



「理解されていないキャッシュフロー」の2号目の前半では、最近の、ドル・円と金の、奇妙に見える動きの理由を、基礎から解説します。本稿は、中編として15ページ(8000字くらい)です。基礎とは、理論です。



<Vol.1387号:増刊:理解されていないキャッシュフロー:金融リテラシーの基礎の基礎(2)>
2023年12月2日:有料版、無料版共通

【目次】
■1.ドル・円と金が奇妙な動きをする理由
■2.奇妙な動きの原因を探れば
■3.日米の金利差とドル・円
■4.円だけが、60%も暴落した実効レート
■5.下がるべき人民元と人民元の国債が、最近は上がった理由
■6.コロナのあと世界の金融負債は5京4000兆円に膨らんだ
■7.信用通貨の1万円札と、金の価値は、社会のなかもの
■8.世界の金利が4ポイント上がって、ドルの既発国債と債券は25%下がっている
■9.リーマン危機との比較
■10.キャッシュフローと、名目金利による債券の時価評価で見れば、時価評価しない簿記会計のウソが、見えてくる

【後記:新著の紹介と寄贈】



■1.ドル・円と金が奇妙な動きをする理由

米ドルが、146円台に下がっています(円は約4円上昇)。日経平均は11月は10月末の3万1000円に対して、3万3000円台へと約6%上がっています。

金価格は円では、10月31日が1グラム1万575円、11月30日は6%の円高のため、1万679円でほぼ変化がなく、わずかな波動です。

しかし、1オンス(31.1g)のドル価格では、
・10月の月中平均が1913ドル(消費税がない国際卸価格)、
・11月30日は、2046ドルであり、7%上がっています。1か月7%は年間では、√12=3.5倍の、24%上昇に相当します。

金価格が上がる原因は、およそいつも、ドルの世界の通貨に対する実効レートの低下です。新興国の中央銀行の、「ドル準備売り→金買い」があります(2023年は年間1000トンに増加)。1000トンの買いは2024年も続くと、ドル下落の可能性も高いことになるのです。

■2.奇妙な動きの原因を探れば

11月にドルが下がった原因は、米国のCPIが、23年10月は3.2%と前月比で0.5ポイント下がったからです。インフレであることは変わりがない。しかし、金利が上がる予想の、ドルの買いを決めてきた高いインフレ率(前年比)が下がった。米国のインフレと失業率が今後どうなるかが、金利とドル価格を決めます。

【FRBが参照するインフレ率が多種あって、一般にはわかりにくいことですが・・・】

23年10月CPIは、前年比3.2%ですが、投資家の期待インフレ率(≒BEI=数年後の予想インフレ率)は2.25%付近です。22年3月で、CPIが9%だったときは3.5%ですから1.25ポイント下がっています。

◎FRBは、実は、この期待インフレを2%に下げるために、名目金利の利上げをとっているのです。
 FRBがもっとも重視するのは、期待インフレ率です。(5年債と10年債の、物価連動債の金利:BEI=投資家の期待インフレ率)
https://www.oanda.jp/lab-education/oanda_lab/oanda_rab/breakeven_inflation_rate/

期待インフレ率は、10月は2.25%に下がった(グラフの事実)。
23年12月のFRBの、短期金利(名目金利)の5.25%からの利上げはない予想。24年3月には利下げ(マイナス0.25%)かもしれないという観測を米国の金融市場がしているからです(投資家の予想)。

これが、3か月先くらいの金利政策を織り込んで動くNYダウが、史上最高価格の3万6000ドル台をつけている理由です(株価での結果)。

そして3か月先の予想金利が下がってきたドルへの、他の通貨からの買いが鈍った結果、23年11月は、円に対しては6%のドル安(6%の円高)になったのです(通貨での結果)。

4円の円高とはいっても、2021年の110円台とは40円以上(36%)も円安の水準です。

・・・以上の金融理論的な話は、「数字の事実→名目金利の将来予想→通貨、株、金の価格→価格も変動」となっていて、とてもややこしい。

しかし、売買の70%を占めているファンド運用のプロは、自動売買のアルゴリムも使って、ここに単純化して示した考えから、多い順に言うと、通貨、国債、株、金を売買しています。

■3.日米の金利差とドル・円

日米の名目金利差が3.5%で1ドルは146円、仮に、この金利差が2%に縮小すれば(ドル金利3.5%、円金利1.5%になると)、ドル円は130円から120円台でしょう。

現在の金融状況からは、起こりえないことですが、ドル金利2.0%、円2.0%になれば、1ドル=90円台が均衡レートでしょう。

【購買力平価では、ドル・円は80円台】
よく取り上げられる、ビッグマックの価格は、米国が778円、日本は450円です。食としての価値は、日米で同じですから、1ドル150円のドルは、778÷450=1.7倍くらいは過大評価です。

トヨタは、1.7倍の価格で、米国で作って、米国で売っています。
海外で70%を作って売るので、売上、経費、利益を円換算したとき、円安の恩恵をうけるトヨタが、税引き後純益で3兆9000億円の利益を上げるのは当然です。

株価の時価総額は、45兆円、2年前の約2倍です。1000万円もっていれば、2000万円。「売りどき」でもあります。2024年からの長期的な傾向は、ドル安・円高の可能性が高いからです。

金も上がっていることは、新興国による、金ペッグBRICSデジタル通貨加盟のための、ドル外貨準備の売り→1000トンの金買いを示します。

BRICSプラスに加盟することが決定している中東諸国の原油が、2024年から次第に、BRICS通貨でも売られるようになって、現在ほぼ100%のドル決済は、50%に向かって減っていくので、ドル外貨準備も50%でいいのです。

トヨタの株価は、世界本社がある日本の通貨が約30%は下がったから、会社の評価は2倍に上がったという変なものです。
変動相場の通貨レートって、奇妙なものです。

その国の、総合的な経済力には、関連がない(GDPの期待実質成長率(または潜在成長力)として、すこしは関係があります)。

■4.円だけが、60%も暴落した実効レート

円の、世界の通貨の加重平均に対する実効レートは、1995年が150、現在は60です。円の価値は40%(60%下落)に下がってしまったのです。
(図録:ドル、ユーロ、元、円の実効レート)
https://honkawa2.sakura.ne.jp/5072.html

日本の世界に対する経済力も、通貨レートと物価・賃金では、60÷150=40%に下がっています。

【ドルの購買力平価は、88円付近】
米ドルの高い金利による、海外からのドル買いの増加による過大評価をならして、円でいえば、150円÷1.7=88円が均衡点です。

1ドル88円なら、ハワイのラーメン3000円も1700円になって、観光地物価の、妥当な価格になります。近くの専門店「丸源」ではラーメンがメインの1食が1000円付近(ラーメンだけでは約800円)で、パートの時給1時間分です。

カレーと並ぶ国民食のラーメンとパートの時給は、過去からおよそ一致しています。米国の、現場ワーカー職の時間給は3000円付近ということでもあります。これが万国にほぼ共通な「経済学的な物価」です。

仮に、日米の金利が一緒になると、1ドル=88円です。ドル切り下げがあれば、ドルは、1/2あたりと、すっと前から言っているのは、日米金利が同じときの物価・賃金の均衡レートが88円付近だからです。2021年以降のドルは、外為市場での通貨の売買では過大評価されています。

金融市場では、米ドルが約2倍の過大評価という見方は少ない。金融機関の5%(20人に1人)か;当方は、ほぼいつも少数派です。

しかし、通貨の基礎を考えてみてください。米国のパート労働は、日本のパーより3倍優秀なため、時給3000円でしょうか。そうでなく、むしろどこからどう見ても、日本のパートが上でしょう。つまり米国の3000円は、ドル/円≒150円がもたらす、過剰評価です。アルバイトのコンビニのレジ担当を、日米で比較すれば誰でもわかることです。日本の現場職は、たぶん世界1優秀です。しかし、賃金は1/3。賃金を換算する通貨が、おかしいのです。

◎ドルの過剰評価は、本稿で解説する、日本のドルの対外純資産(=ドル買いの累積超過)の約420兆円が、原因であるという説明すると、了解できるでしょう。

【外為市場は巨大】
理由は何であれ、買いが多い通貨は上がります。日本を含む、世界からの売りより買いが少なかった円(1995年以降の28年間)や、トルコリラのような通貨は、下がります。

今、1億戸の不良在庫から、金融危機の淵を歩いている人民元が、逆に、上がっています(2021年の1元は15円→現在20.73円:2年で+38%)。原因は、中国経済の好調ではない。2021年からの中国経済は不況です。

◎フィナンシャル・タイムズ紙が作っている世界債券のインデックスで、なぜか(理由は不明)、人民元国債のポートフォリオの構成比を上げたことが原因です。
(FTSC:世界の約20カ国の国債や債券の指数:2018年には、中国国債は入っていませんでした)。
https://www.ftserussell.com/ja/products/indices/world-government-bond-index

■5.下がるべき人民元と人民元の国債が、最近は上がった理由

主にドル国債と債券を買うつもりで、金融のプロが売買している世界の国債や債券のインデックスを買うと、人民元の国債や債券も買ったことになって、人民元が、経済的な理由がなく上がることになります。

世界金融には、個人が行っている、単純な通貨ペアのFXや外貨の株買いだけでなく、プロが売買している無数と言っていいくらいの金融商品があります。

【巨大な売買がある外為市場=世界の銀行の店頭】
世界の通貨の売買は、貿易の実需の約100倍です。1日に15兆ドル(2250兆円)と巨大です。

このなかで円の売買は、世界の通貨の、16.7%の375兆円です。米ドルが88.5%です。売買ですから、合計は200%:売りと買いだけでは、ドルは半分の44.3%です。円は、世界の通貨の、8.4%の構成比です。

証券会社は、商店と同じです。売買が増えて、投資家の損得には関係がない手数料がはいればいい。有利な商品、または安全な商品として、デリバティブも含んで、可能な限り多種の金融商品を作ります。金融商品開発とポジショントークが銀行・ファンド・証券の本性です。

■6.コロナのあと世界の金融負債は5京4000兆円に膨らんだ

世界の金融資産(=同額が金融負債)は、世界GDPの3.6年分の、360兆ドル(5京4000兆円)といっても、たぶんイメージができないでしょう。それが(正常な)普通の人の頭です。金融のプロの頭が、1973年からの数理金融で異常になっているのです。

【現代ファイナンス理論】
1973年:確率的な未来リスクの計算のオプション、先物のデリバティブをつくったブラック・ショールズ方程式の論文から、数理金融の拡大が、はじまったのです。ここで、伝統的な会計学(ファイナンス)は、金融にはついていけなくなったのです。

◎デリバティブとともに、現代ファイナンス理論は、未来の金融リスクの確率計算になったからです。

【通貨先物価格の意味】
昨日の日経新聞に出ている、FX(外為証拠金取引)でも売買されているドルの、6か月先の先物価格(先物はデリバティブです)は144.6円です。ところが、今日のドル現物価格は、146.8円です。

この2.2円(6か月で1.5%の差:年間換算3.0%)は、何でしょうか? ドル安(円高)のリスクが、半年で2.2円(1年で4.4円)あると、通貨市場が想定しいるのです。

このため、ドル建て債の下落を、先物でヘッジすると、1年後の、1億ドルの債券のドル安をヘッジするなら、500万ドルが保険料です。
為替交換の手数料と、管理の事務手数料を含むので、年間では、約5%のヘッジ料がかかります(この5%でドル債の、1年の金利が5%消えます)。

これが、ドル先物の、デリバティブのコスト(リスク保険の価値)が5%ということです。これが、現代ファイナンス理論のエッセンスです。

〔要約〕リスク予想と金利での割引現在価値(NPV)の計算が、ブラックショールズ方程式であり、現代ファイナンス理論(マーロン・ショールズ)です。

【金と1万円の価値の、奇妙な一致】
1万円札が100トン(1億枚=1億グラム)で1兆円になります、世界の金融資産=負債が、その5万4000倍と言っても、実感はない・・・。1万円札の重さは、1グラムです。

金グラムが1万円ですから、現在は紙の重さでは金と一致します。偶然ですが面白い。あなたの所得や預金に相当する、金の量がイメージできます。1000万円で、たった1Kgか、あるいは金1Kgもあると思うか。

金1Kgバーは、携帯電話より二回り小さい。比重では鉛の1.8倍の重さです。スピーカーの、裏からの支持を4Kgの金でやれば、音はどうなるか(原子の密度が1.8倍濃いのでたぶんより静寂になります)・・・離れ島に住んで金貨ではなく金属として使えば、価値はその程度のものでしょう。

1グラムの小さな紙も1万円ですから・・・通貨と金融資産は「社会」があってはじめて、商品と交換できる価値をもちます。離れ島では、金1Kgは海に潜って捕まえる魚や蟹の使用価値がない。

【蟹の、社会での物的な価値】
先週、ある人の厚意から、金沢から蟹を贈ってもらいました。熱燗の剣菱とあわせると美味しかった。「かに道楽」の味とは異次元です。鮮度以外の、何かがあります。爪をゴムで縛られていて一瞬この蟹は何のために生きてきたのか・・・と不憫(ふびん)でした。蟹にも意識はあります。

われわれは、毎日、生命を食べ、これは美味しい、または不味いと言いながら生きています。菜食も、植物の命を食べるものです。太陽の光エネルギー、海と土壌の微生物、そして二酸化酸素と酸素と水が、命の根源でしょう。

■7.信用通貨の1万円札と、金の価値は、社会のなかもの

1万円札や金は、食べることができない。商店で、何枚かわかりませんが使うと、この蟹も買えます。

今日の労働と、商品の価格を決めた分業のルール(文化)があるのが、社会です。商品の交換の媒介(エージェント:代理役:メディアとも言う)がマネー。

臨時国会で決まった、13.1兆円の補正予算も1万円札では1300トンです(4トントラック325台分の、金輸送車と同等)。人口1人あたり、10万円(1世帯あたり25万円:25グラム金)のマネーです。あの国会審議は、金1300トンの支出の決定に値しますか?

【1兆円を1奥分の1の1万円にすれば・・・】
世帯年収(GDP相当)を1000万円(金1Kg)として、預金、国債、債券、株の金融商品(≒負債)の残高が3600万円の金融化した経済という意味です。1億分の1にして、皆さんの世帯のスケールで、考えていい。

年収1000万円なら、3600万円の金融資産は平均的です。金融資産と同じ金額の3600万円は、別の誰かの、負債です。金融資産と負債の仲介役が、銀行、ファンド、証券会社です。

■8.世界の金利が4ポイント上がって、ドルの既発国債と債券は25%下がっている

銀行・ファンド・証券会社(米銀の大手は証券を兼業)の資産である既発国債と債券には、金利(本質は通貨の通貨の下落リスクです)が上がって、時価が下がった不良債権が隠れています。(注)

◎ドル債の名目金利が、現在、5%であるということは、1年後のドルの、米国物価に対する価値(購買力)が、5%下がるリスクがあるという意味です(これが名目金利の本質です)。

金融の仲介機関は、2021年のように、世界の金利が1%台と低く、国債と債券価格を今より約25%は高く買ったときの簿価で、4%や5%に金利が上がった今も、バランスシートに計上しているます。この25%が、銀行やファンドがもつ、ドル10年満期債券にある含み損です。

銀行B/Sの帳簿では、金利1%のとき買った例えば1兆円、それをいま売ったときの時価は、7500億円ということです。

【偽装の、銀行B/S】
1億分の1にした3600万円の金融資産が含む、金融機関での時価での損失は、3600万円×約25%=900万円です。

世帯の年収分(=GDP)に相当する損ですが、金融機関は資産を時価評価していないので、「金融は正常(=既発国債と債権は正常な価格)」と言い続けています。

この気分は、世界の株価が下がっていず、上がり気味でもあるために生じたものです。仮に株価が30%下がると、一挙に現在の予想者が2%の、世界金融危機の気分になります。

■9.リーマン危機との比較

危機が来れば、リーマン危機の不良債権4兆ドルの、4倍から5倍です。1929年~33年の。世界恐慌並みです。リーマン危機も、2008年8月末まで(9.15の2週間前)、ほとんどの金融マンの(たぶん世界の95%)、「想定外」のことでした。

米国の株価が最高(NYダウ3万5950ドル;11月30日)の裏には、
・史上最大の空洞があるので、
・FRB議長の、金利0.25%を巡る発言のときの空気で、乱高下します。

◎高くて長い綱渡りが、わずかな風(0.25%の、金利変化の予想)で大きく揺れることと同じです。

◎しかし、保守的で大本営の発表をする新聞でも、米銀の債券の不良債権が100兆円と、ドル債の、不良債券の全体のごく一部が、出始めました(23年12月1日:日経新聞)。

銀行と金融は正常、NYダウの株価は最高というなかで、こうした金融市場の評価の変化は、見逃してはならない。金融市場の空気が、2024年になれば変わっていく、初期の兆候でしょう。

健康に見え、活発に動いている人間で言えば、失血による血圧の、わずなか低下に、あたります。

◎不良債権のやっかいな点は、発生したら減ることは少なく、多くの場合、時間の経過で増えていくことです。

【FRB、日銀、銀行は、ウソを言う】
原因は、米財務省と金融機関(銀行とファンド)の95%が、「金融と銀行は正常、株価は上がる」として、2022年3月以降の利上げで増えてきた不良債権による、銀行とファンドの資産の空洞を、時価評価をせず、隠してきたからです。

◎日銀も資産(国債597兆円を保有)で、10兆円の損と、含み損の一部を言い始めました。

FRBは、5ポイントの利上げで、4兆ドルの保有国債とMBSが25%も下がって、時価評価すれば、完全な債務超過(マイナス8000億ドル:-120兆円)になっていますが、沈黙しています。

小さな政府と金本位主義のロン・ポールなどの議会で決議し、帳簿にはあることになってる8133.5トンの金を見せろと要求したとき拒否したのは、バーナンキのFRBでした(リーマン危機のときの2008年~2009年)。

FRBもCIAと同じように、大きなウソを言う機関です。スケールの大きなウソは、世間では本当と取られることが多い。

◎金融ムラは、中央銀行と一緒になって、銀行とファンドの資産に含み損が大きいときは、預金の取り付けを防ぐため、ウソをつくことが使命の商売です。本当のことを言えば、資産への、心理的な信用で成り立っている金融が崩壊するからです。

政府が、議会でウソの答弁をしても、政策実行のためとして、許されてきたことと同じです。財務大臣や岸田首相の答弁で分かることです。

■10.キャッシュフローと、名目金利による債券の時価評価で見れば、時価評価しない簿記会計のウソが、見えてくる

キャッシュフローは、現金の流れを言います。

会計での経常収支黒字の通貨円が、1995年以来25年間も下がって、実効レートでは150から60になっています。

経常収支(貿易収支+サービス収支+海外投資の所得収支)が黒字の通貨を続ける円は、「教科書の知識」からは、上がっていくはずです。

1973年以降の、通貨の変動相場の、教科書の原理では、黒字国の通貨は上がって、輸出価格が上がって輸出が減り、輸入価格が下がって輸入が増える結果、貿易は均衡するとされています。

◎教科書では、40年の黒字国の通貨(円)は上がり、世界最大の、0年の赤字国の通貨(ドル)は下がらねばならない。
(米国の経常収支の赤字:1980-2023)
https://ecodb.net/country/US/imf_bca.html

1971年までの金・ドル交換制による固定相場(1ドル360円)から、金・ドル交換が停止されて、ドルと各国通貨がフロートする変動相場にはいった1970年代から1995年までは、この原理が働きました。
(ドル、ユーロ、人民元、円の実効レート:1970-2023)
実効レートは、世界の通貨レートの加重平均に対する、各国レートです。
https://honkawa2.sakura.ne.jp/5072.html

上記のグラフで、赤の円を見ると、1970年の実効レートは指数で60であり1995年は150(2.5倍:1ドル80円)でしたから、確かに、黒字国の通貨が上がる変動相場の原理が働いています。

赤字国の通貨、米ドルは155から1995年は100へと、65%に下がっています。確かに、変動相場の教科書通りです。

【円の暗転】
ところが、1995年以降の28年間は、黒字国の円の実効レートは150から60へと、40%に下がっています。逆に、赤字国を続ける米ドルは、1995年の100から2023年は13へと30%上がっています。教科書とは逆の動きです。

1995年以降の、経常収支と通貨レートの矛盾は、経常収支の黒字を続けた円の国際キャッシュフロー(現金の流れ)で見ると、分かります。

日本は、1年に、経常収支の黒字だった20兆円から40兆円(平均30兆円)の、ドル買い(円売り)をしてきたからです。

ドル国債の買い、ドル債債券の買い、ドル株の買い、直接投資です。その残高が、対外資産の1338兆円(対外負債は919兆円)、対外純資産として残っている418兆円でです(22年末)。

約20年間、日本(政府、銀行、企業)からは、毎年20兆円、ドル買い(円売り)を超過させてきたのです。

買われる通貨(ドル)は上がり、売られる通貨(円)は下がるのが当然です。

1995年から2023年までの、
・円の実効レート    150→60(マイナス60%)
・ドルの実効レート   100→130(プラス30%)の原因は、国際会計上の経常収支の黒字を、そっくり、国際キャッシュフローの赤字(ドル買いの超過)に振り向けてきたからです。

日本人が儲けたお金が、国内には投資されず、米国に投資されました。その超過額が(対外純資産418兆円(22年末))です。

◎日本経済が成長せず、米国を成長させた原因が、日本からのドル買い(=ドル投資)の超過、418兆円です。日本のマネーが、418兆円も米国に逃げたのですから、
・約26年日本はゼロ成長のデフレに、
・米国は2%台のインフレの成長経済になったのです。

【財源はある】
政府は、「財源がない」と、いつも言います。日本の財源はドル建ての、日本の対外純資産に隠れています。日本の対外純資産とは、政府の外貨準備(162兆円)と、民間(銀行+企業)の対外純資産256兆円です。

この418兆円の日本がもつ財源は、2024年以降の、日本の成長のために、利用することが可能な、マネー資産です。1年に50兆円のドル売りを続けても、8年分のドル純資産がこの国にはあります。

【結論】
◎対外資産と対外負債は、同額で均衡するのがいいことです(国際収支の基本原理)。
 ↓
◎2000年代に富国になった米国に、418兆円も、2000年代に貧国になった日本が超過貸し付けする必要は経済的には全くない。

政治的にはあるかもしれません・・・証券(ドル国債、社債、株式、預金)を買うことは投資ですが、国と国のキャッシュフローの関係では、貸しつけることです。

◎2000年代の日本を貧国にしてきた、三部門の「犯人」である、1)政府(財務省)、2)財務省の下請けの日銀、3)財務省の税務調査の裏権力で支配されている政治家は、米国に従属しています。

次号の正刊では、418兆円の対米超過貸し付けを、まず認識し、経済的に派不合理な対外純資産を回収して、日本経済と国民のために使う方法を示して、検討します。認識は、方法に先立つからです。

【後記:新著の紹介と寄贈】
以上に関連する事実も、歴史的に書いた新著『金利と通貨の大転換』は、アマゾンの財政学、マクロ経済学で1位を続けていましたが、今は10位くらいです。

やはり1位は気分がいい。2024年以降を生きる、あなたの知識パワーになる本と確信しています。お手数をかけますがアマゾンにコメントを書くこと、あるいは注文もお願いします。1人1票で若干は上がるでしょう。
https://www.cool-knowledge.com/

このサイトからリンクしたアマゾンに行けます。

◎当方の手許に出版社から来たものが、少し残っていま。5名の方には(下手ですが筆ペンで)あなたの氏名と当方の署名を入れた本を贈ろうと思っています。

メールの宛先:yoshida@cool-knowledge.com

郵パックで送ります。1)郵便が届く住所、2)電話番号、3)ご氏名、4)(書く参考のために)年齢を書いてください。本やメールマガジンは、読者の年齢層で、書き方が違います。

当方から送った方を、当選とします。メールの有効期間は1週間とします。届くのは、今日から10日から12日あとになるでしょうか。

メールのヘッダーには、区分のため「新著希望」と書いてください。メールマガジンの感想も書かれていると当方の喜びです。
内容が難しい、こう書いてれとか、疑問点などでも、OKです。


【プレミアム読者アンケート&感想の、項目のメド】

1.内容は、興味がもてますか?
2.理解は、進みましたか?
3.疑問な点は、ありますか?
4.その他、感想、希望テーマ等
5.差し支えない範囲で、横顔情報があると、テーマ設定と記述の際的確に書くための、参考になります。

気軽に送信してください。感想は、励みと参考になり、うれしく読んでいます。質問やご要望には、可能なかぎり回答をするか、あとの記事・論考に反映させるよう努めます。

読者の感想・意見・疑問・質問は、考えを広げるのに役立ちます。

著者のメールアドレス:yoshida@cool-knowledge.com


本ウェブマガジンに対するご意見、ご感想は、このメールアドレス宛てにお送りください。


配信記事は、マイページから閲覧、再送することができます。

マイページ:https://foomii.com/mypage/


【ディスクレーマー】

ウェブマガジンは法律上の著作物であり、著作権法によって保護されています。

本著作物を無断で使用すること(複写、複製、転載、再販売など)は法律上禁じられています。


■ サービスの利用方法や購読料の請求に関するお問い合わせはこちら

https://letter.foomii.com/forms/contact/

■ よくあるご質問(ヘルプ)

https://foomii.com/information/help

■ 配信停止はこちらから:https://foomii.com/mypage/



今月発行済みのマガジン

ここ半年のバックナンバー

2025年のバックナンバー

2024年のバックナンバー

2023年のバックナンバー

2022年のバックナンバー

2021年のバックナンバー

2020年のバックナンバー

2019年のバックナンバー

2018年のバックナンバー

2017年のバックナンバー

2016年のバックナンバー

2015年のバックナンバー

2014年のバックナンバー

2013年のバックナンバー

2012年のバックナンバー

2011年のバックナンバー

2010年のバックナンバー

このマガジンを読んでいる人はこんな本をチェックしています

月途中からのご利用について

月途中からサービス利用を開始された場合も、その月に配信されたウェブマガジンのすべての記事を読むことができます。2025年6月19日に利用を開始した場合、2025年6月1日~19日に配信されたウェブマガジンが届きます。

利用開始月(今月/来月)について

利用開始月を選択することができます。「今月」を選択した場合、月の途中でもすぐに利用を開始することができます。「来月」を選択した場合、2025年7月1日から利用を開始することができます。

お支払方法

クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、d払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払いをご利用いただけます。

クレジットカードでの購読の場合、次のカードブランドが利用できます。

VISA Master JCB AMEX

キャリア決済での購読の場合、次のサービスが利用できます。

docomo au softbank

銀行振込での購読の場合、振込先(弊社口座)は以下の銀行になります。

ゆうちょ銀行 楽天銀行

解約について

クレジットカード決済によるご利用の場合、解約申請をされるまで、継続してサービスをご利用いただくことができます。ご利用は月単位となり、解約申請をした月の末日にて解約となります。解約申請は、マイページからお申し込みください。

銀行振込、コンビニ決済等の前払いによるご利用の場合、お申し込みいただいた利用期間の最終日をもって解約となります。利用期間を延長することにより、継続してサービスを利用することができます。

購読する