… … …(記事全文1,977文字)消費者物価指数(以下、CPI)とGDPデフレータは、同じ「物価指数」であっても、若干、統計手法が異なる。
CPIは、文字通り「消費者が財やサービスを買う」際の物価を定点観測している。つまりは、最終的な消費「前」のバリューチェーンの価格動向は反映されていない。
バリューチェーンにおける仕入時や輸入価格は無関係なのである。
通常はあり得ないが、輸入物価が倍増したとして、小売業者が価格上昇分を飲み込み、店頭価格を変えなかった場合、CPIは変動しない。
それに対し、GDPデフレータは支出面GDPの各需要項目の価格を、シェアに応じて重みづけを行い、合算される。しかも、GDPの控除項目である輸入のデフレータは、GDPデフレータ全体を引き下げる。
デフレータとは、そもそも「縮ませる」という意味だ。名目GDPから物価「上昇」の影響を取り除き、実質GDPを計算するための物価指数がGDPデフレータなのだ。
【日本の消費者物価指数の推移(2020年=100)】
http://mtdata.jp/data_97.html#CPI
日本のCPIは,2022年に上昇が始まった。とはいえ、GDPデフレータはプラスになっていない。
【日本の輸入デフレータ・GDPデフレータの推移(対前年比%)】
http://mtdata.jp/data_97.html#deflator
2021年、2022年と、輸入デフレータは二年連続で20%の上昇となった(控除項目であるため、グラフではマイナス表記)。それにも関わらず、というよりも「それゆえに」GDPデフレータはほぼゼロであった。
