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週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~

三橋貴明(経世論研究所所長)

三橋貴明

消費者物価指数とGDPデフレータ

消費者物価指数(以下、CPI)とGDPデフレータは、同じ「物価指数」であっても、若干、統計手法が異なる。

CPIは、文字通り「消費者が財やサービスを買う」際の物価を定点観測している。つまりは、最終的な消費「前」のバリューチェーンの価格動向は反映されていない。

バリューチェーンにおける仕入時や輸入価格は無関係なのである。

通常はあり得ないが、輸入物価が倍増したとして、小売業者が価格上昇分を飲み込み、店頭価格を変えなかった場合、CPIは変動しない。

それに対し、GDPデフレータは支出面GDPの各需要項目の価格を、シェアに応じて重みづけを行い、合算される。しかも、GDPの控除項目である輸入のデフレータは、GDPデフレータ全体を引き下げる。

デフレータとは、そもそも「縮ませる」という意味だ。名目GDPから物価「上昇」の影響を取り除き、実質GDPを計算するための物価指数がGDPデフレータなのだ。

 

【日本の消費者物価指数の推移(2020年=100)】

http://mtdata.jp/data_97.html#CPI

 

日本のCPIは,2022年に上昇が始まった。とはいえ、GDPデフレータはプラスになっていない。

 

【日本の輸入デフレータ・GDPデフレータの推移(対前年比%)】

http://mtdata.jp/data_97.html#deflator

 

2021年、2022年と、輸入デフレータは二年連続で20%の上昇となった(控除項目であるため、グラフではマイナス表記)。それにも関わらず、というよりも「それゆえに」GDPデフレータはほぼゼロであった。

… … …(記事全文1,977文字)
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