… … …(記事全文2,379文字)アメリカのトランプ大統領は4月9日、世界のほぼ全ての国・地域に対して全面発動するとしていた「相互関税」について、税率の一部の適用を90日間、停止すると表明。アメリカに対して、報復措置を「講じていない」ことが条件になる。
もっとも、相互関税の最低税率である10%は継続。さらに、報復関税を決めた中国に対しては、税率を125%にまで引き上げた。
日本は「報復措置を講じていない」に該当するため、24%に引き上げられる予定だった関税は、10%に下がる。
24%への関税引き上げを、とりあえずは10%にとどめ、その上で、
「最も良い提案を示すことを期待している」(ベッセント財務長官)
とやってきたわけだ。我が国への貢物を、何にするのか、90日以内に決めろ、と言っているのも同然である。
最も適切なトランプへの貢物は、言うまでもないが「消費税による輸出戻し税」という輸出補助金の撤廃である。すなわち、消費税の廃止だ。
輸出において、課税売上に対する消費税は「税率0%」で計算される(非課税ではない)。結果、輸出戻し税が輸出企業に還付される。これが、事実上の輸出補助金になっている。というよりも、WTOの規約に違反せずに輸出補助金を出すためにこそ、付加価値税(日本の消費税)が各国で導入されていったのだ。
ちなみに、トランプ大統領が日本の消費税について問題視していることについて、
「アメリカ製品を日本に輸出すると、消費税により高く売らされている。つまりは、事実上の関税を課せられている」
と、誤解している人が少なくないだろうが、違う。アメリカ製品を輸入した場合、消費税を課せられるのは「輸入業者」であり、アメリカ企業ではない。
トランプが問題視しているのは、あくまで付加価値税(=消費税)という輸出補助金なのである。
そもそもの始まりは、1950年代のフランスだ。