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週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~

三橋貴明(経世論研究所所長)

三橋貴明

国債の貨幣化

日本銀行は、日本国の中央銀行として、貨幣を発行している。

日銀が当初、発行する貨幣は「日銀当座預金」であり、「現金紙幣」ではない。日銀は国債という「政府の国庫債券」を受け入れ、自らの負債である日銀当座預金を発行する。

民間経済において、企業や家計が借用証書を市中銀行に差し入れ、市中銀行が自らの負債である銀行預金を発行するのと同じだ。

バランスシートを見ると、日銀の貨幣発行後は以下の通りとなる。

◆日銀のバランスシート

借方     貸方

国債xxx円 日銀当座預金xxx円

日銀の負債である日銀当座預金は、当然ながら国債を差し入れた市中銀行の資産になっている。

市中銀行は、需給を見ながら自らの資産である日銀当座預金を「引き出す」形で、現金紙幣に変える。市中銀行が引き出した現金紙幣が、民間経済に流通していく。

日銀の現金紙幣発行後のバランスシートは、以下になる。

◆日銀のバランスシート

借方     貸方

国債xxx円 現金紙幣xxx円

日銀からしてみれば、自らの負債として発行した貨幣が「日銀当座預金(デジタルデータ)」であろうとも「現金紙幣(紙)」であろうとも、負債総額は変わらない。

現金紙幣とは、単純に「デジタルデータ」である日銀当座預金が「紙の形になった」に過ぎないことが理解できる。

デジタルデータであろうが、紙であろうが、日銀のバランスシートに計上される負債金額は変わらないのだ。

つまりは、日銀当座預金と現金紙幣の差異は、「利便性の違い」に過ぎない。

日銀当座預金は、日銀に口座を持っている金融機関しか使えない。我々、民間企業や家計は日銀口座を持つことができないのだ。

それに対し、現金紙幣は誰にでも使える。

「市中銀行が日銀当座預金を引き出し、現金紙幣を手に入れる」

とは、利用者が限定される日銀当座預金を「誰でも使える貨幣」に変換するプロセスと捉えることが可能だ。

… … …(記事全文2,554文字)
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