… … …(記事全文2,046文字)解雇規制の緩和を主張する者は、必ず、
「企業が従業員を解雇しやすくすれば、むしろ企業は人を雇用し、失業率は下がる」
と、主張する。
逆に言えば、企業が雇用を増やさないのは、解雇規制が厳しく、一度、雇うと、簡単に解雇できないためだ。
というレトリックなのだが、これはかなり奇妙な(あるいは「狂った」)考え方である。
特に、総需要不足というデフレに苦しむ国においては。
デフレーションとは、需要不足。つまりは、仕事不足である。
仕事不足である以上、企業は解雇規制とは無関係に人を解雇したい。
その状況で、解雇規制を緩和した場合、単に企業は従業員を解雇するだけの話だ。
何しろ、デフレーション。企業の従業員の生産能力に対し、仕事が不足しているのである。
供給能力が総需要を上回るデフレギャップ状況にある以上、企業はいずれにせよ人の解雇を望むのだ。
決して、
「一度、雇うと、解雇できないために雇わない」
のではない。単に、
「仕事がないため、雇わない」
に過ぎないのである。
それにも関わらず、経済学はデフレ期、インフレ期とは無関係に、解雇規制の緩和を主張する。実際に、デフレ期であるにも関わらず、失業率が上がったことを受け、
「企業は解雇規制が厳しすぎるため、一度、雇ったら解雇しにくいため、雇わない」
という神話に騙され、デフレ期に解雇規制の緩和を強行した国の実績を見てみよう。スペインだ。
【スペインの完全失業率(%)】
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週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~
三橋貴明(経世論研究所所長)