… … …(記事全文3,496文字)※本メルマガは基本的に毎週月・木に配信しておりますが、イスラエル・イラン戦争の結末につきまして、先週同様、情報の鮮度が高いうちに今週2本分(6月30日(月)分と7月3日(木)分)を先行配信いたします。
イスラエルと米国のイラン攻撃が電撃的ならば停戦も電撃的だった。トランプは6月22日(日本時間)にイランの核施設を空爆したことを公表すると、2日後の24日にイスラエルとイランの停戦合意をSNSで発表、翌25日に正式に停戦を迎えた。
果たして「12日間戦争」の真の勝者は誰だったのか?
●数字で見ると
<2025年6月25日 NHK>
イスラエルとイランは「12日間戦争」について「勝ったのは我々」と、停戦後も争っている。
<勝利の主張を譲らぬ両国>
数字で勝敗を決めるならば、両国の被害は以下の通りだ。
<「12日間戦争」におけるイスラエルとイランの被害比較>
この数字は全て現時点の推定値で今後大きく変わる可能性もあるが、この数字で見ると人的被害はイラン側の被害が大きい。特に原子力研究者や軍高官を多数暗殺されたことはかなりの痛手だ。
一方、戦費については、イスラエルが約1.3兆円(1.8兆円という試算もある)、物的損害約2000億円と、イスラエル側の経済的負担が大きい。特にミサイル防衛コストが莫大だ。
つまり、人的被害で言えばイスラエルの勝利、経済的被害で言えばイランの勝利、と言える。
●政権転覆ならず
次に、イスラエルの12間戦争の目的、すなわち「イランの核保有可能性の排除」と「政権転覆」の観点で見てみる。
まず「政権転覆」だが、これは明らかに失敗だ。
イスラエルは、今回の軍事作戦に「ライジング・ライオン作戦」と名付け、イラン国民に現イスラム共和制を打倒し、イラン革命以前のパフラヴィー(パーレビ)王朝に戻るよう呼び掛けた。
<2025年6月14日 読売新聞>
イラン革命で米国に亡命したパフラヴィー国王の長男(イラン元皇太子)や、イラン反体制派組織のトップも、ハメネイ師率いるイスラム共和体制の打倒をイラン国民に呼びかけていた。
<2025年6月23日 ABEMA news>
<2025年6月25日 ロイター>
先週お伝えしたように、パフラヴィー王朝は欧米の傀儡政権だった。もしも、12日間戦争でイラン政権が転覆し、元皇太子がイランの指導者として返り咲いていたら、イランは再び親欧米・親イスラエルとなり、今後イスラエル・イラン戦争が起きる可能性は低くなっただろう。だがそれは、自主独立を望むイラン国民の尊厳と引き換えだ。イランは実質的なイスラエル領となり、シオニストの大イスラエル計画は大きく前進する。そして、イスラエルが政権転覆を企む次なる相手は、トルコやサウジアラビアだろう。大イスラエルを目指すシオニストが完全に消滅しない限り、中東から戦争はなくならない。
<シオニストは大イスラエル計画が成就するまで戦い続ける>







