… … …(記事全文5,066文字)※本メルマガは基本的に毎週月・木に配信しておりますが、今回お伝えするイスラエル・イラン戦争は、刻一刻と状況が変化しておりますので、情報の鮮度が高いうちに今週2本分を先行配信いたします。
今から3時間半前の6月22日午前9時、米軍がイランの核施設3カ所を攻撃した、というニュースが入ってきた。一昨日トランプは、米国のイラン攻撃について2週間以内に決断すると発表していたが、これほど早く攻撃を決断するとは誰も予想していなかっただろう。米国の参戦により、イスラエル・イラン戦争が収束に向かうのか拡大するのか、予断を許さない事態になった。
●猶予を使わなかったトランプ
<2025年6月22日 日経新聞>
そもそもトランプが2週間の猶予期間を設けた理由は、以下に述べるような目論見があったはずだ。
<2025年6月20日 NHK>
トランプの支持者は大きく分けて2つある。「MAGA(米国を再び偉大に)」「米国ファースト」支持者と、キリスト教福音派・軍産複合体・イスラエル勢力だ。ちなみに、DSとも重複する軍産複合体は、以前はバイデン支持だったが、トランプ暗殺未遂後、トランプ支持に寝返ったと筆者は認識している。
MAGA支持者は、他国の戦争への介入は米国の利益にならないとして、イスラエル・イラン戦争介入に反対していた。
<2025年6月19日 時事通信>
一方、キリスト教福音派・軍産複合体・イスラエル勢力は、当然、米国のイスラエルを支援する軍事介入を望んでいた。
<2025年6月19日 毎日新聞>
トランプはイスラエル・イラン戦争に関して対立する2つの支持勢力を維持しなければならない立場にいる。イスラエル・イラン戦争に対してトランプの言動が目まぐるしく変わるのは、トランプ一流のダブルバインド・ディールでもあるが、相反する支持勢力の支持を維持するための方便だ。
<2025年6月20日 ヤフーニュース>
トランプはどうすれば2つの支持勢力を失わずに済むか。
答えは「米国が軍事介入するかどうかを検討する時間を作り、その間イスラエルにやり放題やらせること」だった。裏で米国とイスラエルの間で引き際を決め、イスラエルの自主的な攻撃終了または米国の仲介という形で収束させる。そうすれば、「戦争推進」と「戦争不参加」を時間差で成立させることができる。
昨年12月にシリアのアサド政権が崩壊したときも、トランプはイスラエルとトルコのシリア侵攻を止めなかった。これも、トランプが今年1月に大統領に就任するまでに、できるだけイスラエルの大イスラエル計画を進させるためだったと筆者は理解している。
<2024年12月8日 朝日新聞>
つまり、2週間の猶予は、イスラエルの気が済むまで暴れさせ、米国の参戦を不必要にするための方便だったと考えられた。
<2025年6月20日 日経新聞 イスラエルの単独攻撃はトランプにとって最も望ましい選択だ>
ところが、トランプは自ら設けた猶予期間を有効に使わず、攻撃に踏み切った。
トランプが攻撃を決断した背景には何があったのだろうか。
●イスラエルの最後の切り札「サムソン・オプション」







