… … …(記事全文2,247文字)国家のリーダーとしては当然の、国内経済をまず成長させる、国を富ませるという決意が欠如していると、その国の政策はその場凌ぎの官僚の浅知恵の寄せ集めでしかなくなる。MAGA(米国を再び偉大にする)と叫び、高関税政策を繰り出すトランプ米大統領を前に石破氏は無力に終始するのは当然の帰結なのだ。石破氏こそが日本の国難である。
米東部時間7月7日、トランプ米大統領は対日高関税の最後通告を突きつけた。これに対し、石破首相は「なめられてたまるか」と憤激し、「国益をかけた戦いだ。たとえ同盟国であっても正々堂々言わなければならない。守るべきものは守る」と大見えを切った。この言葉自体は正しくても、実に空しく響く。「国益」、さらにトランプ高関税について頻繁に繰り返し口にしてきた「国難」とは何かについて、石破氏は何一つはっきりした考えを表明したことはないからだ。
中等教育を受けた者ならだれでも、国益とは国民を豊かにする、即ち経済が成長することだとすぐ分かる。「国難」とは長期停滞の日本経済がもっと悪くなり、終わりが見えないことだ。
石破首相は各省庁を直接掌握出来ない赤沢亮正経済再生担当相を7月7日までに7度も訪米させて、ひたすら日本に対する高関税の適用除外を働き掛けるだけだった。対米説得法は、日本が諸外国のうちで最大の対米直接投資を行い,米国の雇用に貢献しているということで、対日相互関税率の引き下げや、日本に対する自動車関税25%、鉄鋼・アルミニウム関税50%の適用除外を求めるという作戦で終始した。