… … …(記事全文2,387文字)トランプ米次期大統領が中国に向かって打ち出す高関税を単に貿易面への影響だけで考えると見間違う。何よりも、中国金融を直撃、つまり中国経済全体を根底から揺るがすのだ。
トランプ氏は来年1月20日の政権発足後、中国からの輸入品に10%、メキシコとカナダに同25%の追加関税を課すと宣言済みだ。対中60%追加関税という大統領選の公約の第1弾である。
国務長官に対中強硬派で鳴らすM・ルビオ上院議員を指命した他、高関税政策を実行する財務長官には投資ファンド経営者のスコット・ベセント氏、米通商代表部(USTR)代表には対中デカップリング(経済分断)論者のジェミソン・グリア元USTR首席補佐官、さらに大統領上級顧問(産業通商政策担当)にはトランプ第1次政権で米中貿易戦争を仕掛けたP・ナバロ氏を指名した。
ベセント氏は対中融和論が主流のウォール街出身だが、共産党独裁の中国に対して人民元売り投機を仕掛けるヘッジファンドを主宰する、ジョージ・ソロス氏の番頭格だった実務家で、金融市場と現代経済史に造詣の深い戦略家である。米国の従来の対中貿易政策はウォール街を潤す一方で、中国の市場自由化には役立たないと批判している。トランプ減税のための財源として高関税に着目している。
データ出所:CEIC