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石井順也の世界情勢ブリーフィング

石井順也(元外交官、国際政治経済、地政学ビジネス)

石井順也

世界情勢ブリーフィング 第849号 今週の動き(11/16~22)高市首相の台湾有事に関する答弁

2025年11月17日発行(通算第849号)

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世界情勢ブリーフィング

https://guccipost.co.jp/blog/jd/

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大谷翔平選手が、3年連続・4度目のMVPを受賞しました。とてつもない偉業なのに、何だかもう当たり前の光景になっている趣きです。こうなると次は、あのポストシーズンで見せた二刀流の爆発をレギュラーシーズンでも見せてくれるだろう・・・などとつい勝手に期待してしまいます。人の期待とは恐ろしいものです。


さて今週は、日中関係を大きく揺るがしている高市首相の台湾有事に関する答弁を取り上げます。今週は編集部から重大発表がある予定で、その準備でバタバタしていることもあり、世界情勢の分析パートはコンパクトにしました。次回、私からも詳しくご報告しますので、お待ちください。


【目次】


1.先週の動き

 ● 高市首相の台湾有事に関する答弁 

2.今週の動き

3.近況報告

4.あとがき


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先週の動き

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11/9(日)

・トランプ大統領が関税収入を強調し米国民に「2,000ドルの配当金」が支払われると表明

・中国がレアメタル(ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン)輸出規制の1年間延期を発表

・中国商務省がオランダに本社を置く中国資本の半導体メーカーのネクスペリアの製品の民生用の輸出の解禁を発表 


11/10(月)

・米国が中国へのフェンタニル関税を20%から10%に引き下げ

・中国が米国の大豆、トウモロコシ等への10~15%の追加関税を停止

・トランプ大統領とシリアのシャラア暫定大統領が会談(ワシントンDC)

・トランプ大統領が職務を全うした航空管制官には1人当たり1万ドルの報奨金を払うと表明

・トランプ大統領がジュリアーニ元NY市長、メドウズ元大統領首席補佐官らに恩赦

・米上院が26年1月30日までのつなぎ予算案を可決

・国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)(ブラジル・ベレン、~21日)


11/11(火)

・米ベテランズデー

・G7外相会合(カナダ・ナイアガラ地域、~12日)

・インドのデリーのレッド・フォート近くで車が爆発

・パキスタンのイスラマバードで自爆テロ

・イラク国民議会選挙(スダニ首相率いる「復興開発連合」が最大勢力)


11/12(水)

・米下院監視・説明責任委員会の民主党委員がジェフリー・エプスタインの電子メールを公開 

・パテルFBI長官が中国当局とフェンタニルの前駆体の阻止計画で合意したと発表

・米国で26年1月30日までのつなぎ予算が成立 

・中国の習近平国家主席とスペインのフェリペ6世が会談(北京)

・ウクライナのハルシチェンコ司法相とフリンチュク・エネルギー相が国営エネルギー会社エネルゴアトムに関する汚職疑惑を受け辞任 


11/13(木)

・米国務省が台湾に3億3,000万ドル相当の軍装備品を売却すると発表

・米国がアルゼンチン、エクアドル、グアテマラ、エルサルバドルから輸入する一部の食品への関税を撤廃すると表明 

・米国務省がドイツ、イタリア、ギリシャで活動する4団体を「アンティファ」として「特定指定国際テロリスト」に指定したと発表 

・ノーム米国土安全保障省長官が政府閉鎖中に模範的な勤務を示した運輸保安局(TSA)職員に1万ドルのボーナスを支給すると発表


11/14(金)

・トランプ大統領が220品目を超す食料品への相互関税を撤廃する大統領令に署名

・トランプ大統領がボンディ司法長官にエプスタインとクリントン元大統領ら民主党関係者の関係の捜査を指示する意向を表明

・トランプ大統領がマージョリー・テイラー・グリーン下院議員を批判、同議員へのエンドースを取消すと表明(グリーン議員もトランプ大統領を批判)

・米国とスイスが関税交渉で合意に達したと発表

・中国の習近平国家主席とタイのワチラロンコン国王が会談(北京)

・インドのビハール州議会選挙(与党連合が圧勝)


●高市首相の台湾有事に関する答弁


高市首相が立憲民主党の岡田克也議員から「どのような場合に存立危機事態になると考えるか」と問われたのに対し、以下のとおり答弁しました。


「台湾に対して武力攻撃が発生する。海上封鎖というのも、戦艦で行い、そしてまた他の手段も合わせて対応した場合には武力行使が生じ得る」

「その海上封鎖を解くために米軍が来援をする、それを防ぐために何らかのほかの武力行使が行われる、こういった事態も想定される」

「台湾を完全に中国北京政府の支配下に置くようなことのためにどういう手段を使うか。それは単なるシーレーンの封鎖であるかもしれないし、武力行使であるかもしれないし、それから偽情報、サイバープロパガンダであるかもしれないし、それはいろいろなケースが考えられる」

「だけれども、それが戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースである」

(出所:衆議院 https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&media_type=&deli_id=55965&time=19223.4


これに対し中国は、日本は台湾問題に武力をもって介入するのかと猛烈に反発。薛剣・駐大阪総領事は「汚い首は躊躇もなく斬る」とSNSに投稿し、中国外交部は首相の答弁の撤回を要求。中国国民に日本への渡航自粛も促しました。


高市首相は先月に就任早々、APEC首脳会議の機会に習近平国家主席と会談。台湾代表の林信義元行政副委員長との会談は批判されたものの、当初の想定よりは穏やかなスタートとなりました。しかし、今回の件で日中関係は一気に悪化し、中国は今なお非難を続けています。


高市首相の答弁が意味するものは何だったのか。何が問題であり、どのように考えるべきなのか。そのポイントと今後の展望について解説します。

… … …(記事全文8,976文字)
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