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世界情勢ブリーフィング

JD(国際政治・経済の研究者、作家、元外交官)

JD

世界情勢ブリーフィング 第834号 今週の動き(8/3~9)トランプの関税交渉と新たな相互関税

2025年8月4日発行(通算第834号)

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世界情勢ブリーフィング

https://guccipost.co.jp/blog/jd/

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8月になりました。夏休みに入られる方もいらっしゃるでしょうか。私も帰省など予定をしていますが、「世界情勢に休みなし」ということで、ウォッチは続けます。 


さて、今週はトランプ政権と各国の関税交渉、そして新たな相互関税の発表について取り上げます。タイとカンボジアの衝突については、停戦合意後も不安定な状態が続いていますが、前回の記事(第833号)でポイントはカバーされていますので、差し当たり同記事をご参照ください。 


【目次】


1.先週の動き

 ● トランプの関税交渉と新たな相互関税

2.今週の動き

3.近況報告

4.バックナンバー

5.あとがき


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先週の動き

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7/27(日)

・米・EU首脳会談(関税合意が成立)(ターンベリー)


7/28(月)

・米英首脳会談(ターンベリー)

・トランプ大統領がロシアが10〜12日以内にウクライナとの停戦交渉で合意しなければロシアへの追加制裁を科すと表明 

・米中閣僚級貿易協議(ストックホルム、~29日)

・米国が台湾の頼清徳総統の8月のNYへの立ち寄りを拒否したとフィナンシャル・タイムズが報道 

・ロシア・イスラエル首脳電話会談

・パレスチナの二国家解決に関する国際会議(NY、~30日) 

・タイ・カンボジア首脳会談(停戦で合意)(クアラルンプール)


7/29(火)

・トランプ大統領がゴルフコースのオープンセレモニーに参加(アバディーンシャー)

・トランプ大統領がロシアが8月8日までにウクライナとの停戦交渉で合意しなければロシアへの追加制裁を科すと表明 

・FOMC(~30日)

・インドネシア・マレーシア首脳会談(ジャカルタ)


7/30(水)

・トランプ大統領が韓国との貿易協議で合意に達したと表明 

・トランプ大統領がインドに8月1日から25%の相互関税を適用し、ロシアからの石油と兵器の輸入に対し「ペナルティ」を課すと表明

・トランプ大統領が銅に8月1日から50%の追加関税を課す大統領令に署名 

・トランプ大統領がブラジルに40%の追加関税を課す大統領令に署名

・トランプ大統領が小口輸入に対する非課税措置(デミニミス・ルール)を撤廃する大統領令に署名

・米国の25年4~6月期の実質GDP成長率の発表(前期比年率+3.0%)

・FOMC最終日(FF金利の誘導目標を据え置き(4.25~4.5%))

・カナダのカーニー首相が9月の国連総会でパレスチナを国家承認すると表明  


7/31(木)

・トランプ大統領が相互関税の税率を修正する大統領令に署名 

・米・メキシコ首脳電話会談

・トランプ大統領がメキシコへの追加関税の発動を8月1日から90日間延期すると表明

・トランプ大統領がカナダへの追加関税を8月1日から35%に引き上げる大統領令に署名

・トランプ大統領が欧米の製薬大手17社に対し米国での薬価の60日以内の引き下げを要求 

・米連邦巡回控訴審裁判所の国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税の効力に関する裁判の弁論期日 

・ウクライナで汚職対策機関の独立性を担保する法律が成立

・エルサルバドル議会が大統領職の再選制限を撤廃する憲法改正案を可決 


8/1(金)

・米国が銅に50%の追加関税を賦課 

・米国が台湾への相互関税を暫定的に20%に引き下げたと台湾が発表

・トランプ大統領がロシアのメドベージェフ安全保障会議副議長の発言に反発し原子力潜水艦2隻を「適切な地域」に派遣すると表明

・トランプ大統領がエリカ・マクエンタファー労働統計局長の解雇を指示 

・米FRBがクグラー理事の退任を発表

・ロシア・ベラルーシ首脳会談(ロシア・ヴァラーム島)


●トランプの関税交渉と新たな相互関税


トランプ大統領が4月に発表した相互関税の税率を修正する大統領令に署名しました。各国の税率は以下のサイトで確認できます。


■ FURTHER MODIFYING THE RECIPROCAL TARIFF RATES(7月31日付ホワイトハウス)

https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2025/07/further-modifying-the-reciprocal-tariff-rates/


米国と貿易合意に達したか、または合意間近な国・地域を付属書Iに列挙し、協議の状況に応じて個別に税率を定めています。また、相互関税を回避するために迂回輸出されたと米国税関・国境警備局(CBP)が判断した場合、相互関税に代わって40%の追加関税を課すとしています。新たな税率は8月7日から適用されます。 


今回の発表に先立ち、米国はEUと韓国との間で貿易合意に達しました。今回発表された関税率は、その合意内容も踏まえたものとなっています。 


中国については、相互関税の適用は8月12日まで停止とされていましたが、先週、米中はストックホルムで閣僚級協議を行い、中国は停止期間をさらに90日間延長することで合意したと発表しました。ただし、ベッセント財務長官はトランプ大統領の最終承認が必要と述べています。 


カナダとメキシコについては、不法移民・フェンタニル関税が課されている間、相互関税の追加分は課されないとされています。ただし、先週、トランプはカナダに対する不法移民・フェンタニル関税の税率を25%から35%に引き上げると表明しました。一方、メキシコには30%の追加関税を課すと述べていましたが、先週、シェインバウム大統領と電話会談を行い、現行の25%のまま維持するとしました。 


インドについては、トランプは25%の相互関税を課すと述べるとともに、インドがロシアから石油と兵器を輸入していることを非難し、「ペナルティ」を科すと表明しました。また、ロシアのメドベージェフ安全保障会議副議長の挑発的な発言に反発し、ロシアとインドはともに「死んだ経済」であり、米国との貿易関係はほとんどないとして、「インドがロシアと何をしようが知ったことではない」と述べました。


EUと韓国との貿易合意、中国、カナダ、メキシコ、インドとの交渉、そして新たな相互関税の内容は、おおむね前回の記事(以下のリンク参照)で述べた見通しに沿ったものとなっていますが、今回は主要国との貿易合意と交渉のポイントについて、最新の状況を踏まえてあらためて解説します。 


・「日米関税合意」(7/28)

 https://guccipost.co.jp/blog/jd/?p=11303


新たな相互関税の全体像や、米経済に与える影響、今後の見通しについては、雇用統計のショッキングな修正も含めて、追って別稿で解説します。 

… … …(記事全文9,505文字)
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