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世界情勢ブリーフィング

JD(国際政治・経済の研究者、作家、元外交官)

JD

世界情勢ブリーフィング 第831号 今週の動き(7/13~19)トランプの関税攻勢再び、米中外相会談

2025年7月14日発行(通算第831号)

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世界情勢ブリーフィング

https://guccipost.co.jp/blog/jd/

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さて今週は、トランプの関税攻勢の再襲来と米中関係を取り上げます。いずれも刻一刻と状況が変わり(メルマガ配信直前まで動きがあるのが正直勘弁して欲しいところです(苦笑))、非常に複雑な様相を呈していますが、マーケットにも大きな影響を与えるところなので、丁寧かつ分かりやすくポイントをお伝えします。


【目次】


1.先週の動き

(1)トランプの関税攻勢再び

(2)米中外相会談

2.今週の動き

3.今週の映画

4.近況報告

5.あとがき


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先週の動き

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7/6(日)

・トランプ大統領が日本と韓国を含む14か国に8月1日から適用する相互関税の関税率を示した書簡を公表

・トランプ大統領が相互関税の上乗せ分の発動を8月1日まで延期する大統領令に署名

・トランプ大統領がBRICSの「反米政策に同調する全ての国」に10%の追加関税を課すと表明 

・BRICS首脳会議(リオデジャネイロ、~7日)

・ダライ・ラマ14世の90歳の誕生日

・イエメンのフーシ派が紅海で貨物船をミサイルとドローンで攻撃 


7/7(月)

・米・イスラエル首脳会談(ワシントンDC)

・米・EU首脳電話会談

・トランプ大統領がウクライナへの追加の武器供与を行う方針を表明

・ロシアがウクライナのドニプロペトロウスク州の集落ダチネの制圧を発表

・ロシア連邦捜査委員会が解任されたスタロボイト運輸相が自殺したとみられると発表


7/8(火)

・米・イスラエル首脳会談(ワシントンDC)

・トランプ大統領がロシアのプーチン大統領を非難し、ウクライナへの武器供与の承認とロシアへの追加制裁の検討を表明

・米農務省が米国の農地を外国勢力から保護する行動計画を公表 

・米連邦最高裁が政府職員の大量解雇と省庁組織再編の差止命令を解除する判決 

・ASEAN外相会議関連会合(クアラルンプール、~11日)

・イランのアラグチ外相とサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が会談(ジェッダ)


7/9(水)

・トランプ大統領がブラジルを含む8か国に8月1日から適用する相互関税の関税率を示した書簡を公表

・トランプ大統領が銅に8月1日から50%の追加関税を課すと表明

・米・アフリカ5か国(ガボン、ギニアビサウ、リベリア、モーリタニア、セネガル)首脳会議(ワシントンDC)

・ケロッグ・ウクライナ・ロシア担当特使とウクライナのゼレンスキー大統領が会談(ローマ) 

・トランプ大統領がダフィー運輸長官をNASA暫定長官に任命すると表明 

・米国務省が国連人権理事会が任命したパレスチナ自治区の人権担当のアルバネーゼ特別報告者に制裁を科すと発表 

・台湾の年次軍事演習「漢光」(台湾各地、~18日) 

・ハマスがガザでの停戦に向けた取り組みの一環として人質10人の解放に同意したと発表 


7/10(木)

・トランプ大統領がカナダに8月1日から適用する相互関税の関税率を35%とする書簡を公表 

・米ロ外相会談(クアラルンプール)

・日米比外相会談(同)

・韓国の特別検察官が尹錫悦前大統領を特殊公務執行妨害等の容疑で逮捕 

・ウクライナ復興会議(ローマ、~11日)

・英仏首脳会談(ロンドン)


7/11(金)

・トランプ大統領がテキサス州の洪水の被災地を訪問

・米中外相会談(クアラルンプール)

・日米韓外相会談(同)


7/12(土)

・トランプ大統領がEUとメキシコに8月1日から適用する相互関税の関税率を30%とする書簡を公表 

・北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党総書記とロシアのラブロフ外相が会談(平壌)

・豪州のアルバニージー首相が訪中(~18日)


●トランプの関税攻勢再び


トランプ大統領は各国に対して「相互関税」の新たな関税率を書簡で通知し、8月1日から関税を徴収すると表明していましたが、7月6日から12日にかけて、日本・韓国・ASEAN・ブラジル・カナダ・メキシコ・EUを含む25か国・地域に対する書簡を公表しました。 


4月2日に発表された当初の税率と今回発表された新たな関税率は、以下のとおりです。


・日本     24%→25%

・韓国     25%(据え置き)

・ブラジル   10%→50%

・EU      20%→30%

・カナダ    未発表→35%

・メキシコ   未発表→30%

・インドネシア 32%(据え置き)

・タイ     36%(据え置き)

・マレーシア  24%→25%

・フィリピン  17%→20%

・カンボジア  49%→36%

・ラオス    48%→40%

・ミャンマー  44%→40%

・ブルネイ   24%→25%

・バングラ   37%→35%

・スリランカ  44%→30%

・南ア     30%(据え置き)

・カザフスタン 27%→25%

・セルビア   37%→35%

・ボスニア・ヘルツェゴヴィナ 35%→30%

・モルドバ   31%→25%

・イラク    39%→30%

・リビア    31%→30%

・アルジェリア 30%(据え置き)

・チュニジア  28%→25%


また、トランプは銅の輸入に対しても、8月1日から50%の関税を課すと発表しました。医薬品についても近く発表される予定であり、1年から1年半の猶予期間を設け、200%の関税を課すとの方針を示しています(銅と医薬品については、2月に通商拡大法第232条に基づき、その輸入が安全保障に与える影響の調査を命じており、これらは鉄鋼・アルミニウム、自動車、半導体などとともに、相互関税の対象から外されていました)。 


さらに、BRICS首脳会議がブラジルで開催されているタイミングに合わせて、BRICSの「反米政策に同調する全ての国」に対して10%の追加関税を課すと表明しました。 


ここまでの展開は、前回の記事(以下のリンク参照)で述べた見通しにほぼ沿っていますが、それでもいくつか予想外の点がありました。 


・「トランプ政権の関税交渉」(7/7)

 https://guccipost.co.jp/blog/jd/?p=11291


上記記事で述べたとおり、トランプの関税攻勢は当初の勢いを急速に取り戻しており、国際関係はもちろん、マーケットを取り巻く環境もこれまでの想定の修正を迫られるようになっています。そのポイントと今後の展望について解説します。 

… … …(記事全文11,376文字)
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