… … …(記事全文11,071文字)2025年5月12日発行(通算第822号)
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世界情勢ブリーフィング
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ゴールデンウィークが終わると、すぐに喧騒の日々が戻ってきました。毎週、本当に色々なことが起こるものです。油断するとあっという間に時間が過ぎてしまうのですが、日々の仕事に埋もれることなく、先まで考えて、様々な手を打っていきたいと思います。
さて、今週は、米英の貿易協定締結の合意と、インドとパキスタンの軍事衝突を取り上げます。諸事情により(詳しくは「近況報告」をご覧下さい)、いつもより短めとなっています(といいつつ、やはり長くなってしまいましたが)。「今週の映画」では、話題のNetflix作品をご紹介します。
【目次】
1.先週の動き
(1)米英の貿易協定締結の合意
(2)インドとパキスタンの軍事衝突と停戦
2.今週の動き
3.今週の映画
4.近況報告
5.あとがき
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先週の動き
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5/4(日)
・トランプ大統領が海外製作映画に関税を課すとSNSに投稿
・トランプ大統領のインタビューをNBCが公表
・イエメンのフーシ派がイスラエルのベングリオン国際空港をミサイルで攻撃
・ルーマニア大統領選挙(1位ルーマニア人統一同盟のシミオン党首、2位ブカレストのダン市長、5/18に決選投票)
・ADB年次総会(ミラノ、~7日)
5/5(月)
・ヘグセス国防長官が4つ星階級(大将級)の将官の20%削減を指示
・米国土安全保障省が不法移民の自主的な国外退去に対し本国への片道航空券と1,000ドルの報奨金を提供すると発表
・米教育省がハーバード大学に新たな助成金の申請を認めないと通告
・イスラエル軍がイエメンのホデイダ港を空爆
5/6(火)
・米・カナダ首脳会談(ワシントンDC)
・トランプ大統領がイエメンのフーシ派への攻撃を停止すると表明
・米連邦最高裁がトランスジェンダーの米軍入隊禁止命令の差止めを解除する判決
・FOMC(~7日)
・ジョセフ・ナイ・ハーバード大特別功労名誉教授が死去
・ドイツ連邦議会がCDUのメルツ党首を首相に選出
・イスラエル軍がイエメンのサヌアの空港等を空爆
5/7(水)
・トランプ大統領が5月8日を第2次世界大戦の「戦勝記念日」とする布告に署名
・ヴァンス副大統領がミュンヘン安全保障会議主催のイベントで講演(ワシントンDC)
・FOMC最終日(FF金利の誘導目標を据え置き(4.25~4.5%))
・コロンビア大学でパレスチナ支持の抗議デモ参加者が図書館の一部を占拠
・中国人民銀行が7日物の短期金利を引き下げ(1.5→1.4%)
・韓国のソウル高裁が「共に民主党」の李在明前代表の公職選挙法違反容疑の差戻審の初公判を5月15日から6月18日に変更すると決定
・ロシア・ベネズエラ首脳会談(モスクワ)
・独仏首脳会談(パリ)
・フランス・シリア首脳会談(同)
・教皇選挙(バチカン、~8日)
・インドがパキスタン領内とカシミールのパキスタン実効支配地域にあるテロリストの拠点9か所を攻撃
5/8(木)
・米国の第2次世界大戦の戦勝記念日
・米英が二国間貿易協定の締結で合意したと発表
・米独首脳電話会談
・米・ウクライナ首脳電話会談
・トランプ大統領がロシアとウクライナに30日間の無条件停戦を求めるとSNSに投稿
・トランプ大統領がパウエルFRB議長への批判をSNSに投稿
・トランプ大統領がケイシー・ミーンズ医師を公衆衛生局長官に指名
・中ロ首脳会談(モスクワ)
・ロシアが一方的に宣言したウクライナとの一時停戦(~10日)
・北朝鮮が江原道・元山一帯から日本海に向けて多様な種類の短距離弾道ミサイルを発射したと韓国軍合同参謀本部が発表
・教皇選挙(ロバート・フランシス・プレボスト枢機卿(レオ14世)を選出)(バチカン)
5/9(金)
・トランプ大統領が中国への追加関税は80%が良さそうだとSNSに投稿
・米商務省が通商拡大法232条に基づく商用の航空機と航空機エンジンへの関税に関する調査の開始を官報で公表
・ロシアの対独戦勝記念日式典(プーチン大統領が演説)(モスクワ)
・中国の習近平国家主席とミャンマーのミンアウンフライン国軍司令官が会談(同)
・中・キューバ首脳会談(同)
・ロシア・キューバ首脳会談(同)
・フランスのマクロン大統領とポーランドのトゥスク首相が友好条約に署名(ナンシー)
5/10(土)
・米中閣僚級貿易協議(ジュネーブ、~11日)
・英独仏・ポーランド・ウクライナ首脳会談(キーウ)
・インドとパキスタンが即時停戦で合意したと発表
●米英の貿易協定の締結合意
トランプ大統領は、米国と英国が貿易協定の締結で合意したと発表しました。正式な文書の署名はありませんが、両政府の発表によれば、主な合意内容は以下のとおりです。
・米国は英国に対する10%の「相互関税」を維持する。
・通商拡大法232条に基づく自動車関税については、年間10万台まで10%、10万台を超える分は25%の関税を適用する。
・同法232条に基づく鉄鋼・アルミ関税は撤廃する。
・英国は米国に対する関税率を5.1%から1.8%に引き下げる。
・英国は米国の市場アクセスを拡大し、50億ドル相当の輸出機会を創出する。エタノール、牛肉、果物、野菜、飼料、たばこ、貝類、化学品、繊維製品等の輸出が含まれる。
・英国はボーイング製航空機を100億ドル相当購入する。
貿易協定の詳細はこれから詰められる予定で、トランプは今後「数週間」かかるとの見通しを示しています
今回の合意は、4月2日の相互関税の発表以降、初めて実現した二国間の関税合意です。日本を含む、現在米国と交渉中の他国にとっても示唆に富む内容だったといえます。その意義と今後の関税交渉の展望について解説します。