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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

山田順の「週刊:未来地図」No.802:高市政権は日本をますます弱体化させる! なぜ、若者は「右傾化」し「内向き」になったのか?


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山田順の「週刊:未来地図」                 

No.802 2025/10/28

高市政権は日本をますます弱体化させる!

なぜ、若者は「右傾化」し「内向き」になったのか?

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   高市早苗首相の誕生で、日本中が一変して楽観ムードに包まれている。「行動が早い」「トランプ大統領とうまくやれる」「これで日本がまた強くなる」などという賞賛のコメントが、ネットに溢れている。しかし、すべては期待に過ぎず、彼女が掲げる政策は期待とは逆行する。

 いまの日本は、長びく経済衰退とともに、ますます内向きになっている。とくに若年層の右傾化、内向き化がひどい。サナエノミクスは、それをさらに加速させるだろう。

 かつて「国際化、国際化」と叫ばれていた時代があった。1980年代のことだが、とうとう日本は国際化せず、世界から大きく遅れてしまった。今後が思いやられる。

 [目次]  ───────────────

■財源が足りなければ国債を増発して対応する

■経済政策の要になる人間なのに「無責任」

■かつて勉強会に片山さつき主計官を招いた

■右傾化した若年層が高市内閣を支持している

■なぜ、若者は「保守化」「右傾化」したのか?

■アメリカとうまくやればやるほど日本は衰退する

■「国際化」が言われた希望に満ちていた時代

■日本で生まれ育っただけでは日本人になれない

■インド生まれのキップリングが残した言葉 

■日本は中国とは一線を画した1つの独立した文明

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■財源が足りなければ国債を増発して対応する

 

 たしかに女性首相の誕生は歓迎すべきことで、日本が大きく変わる可能性を秘めている。しかし、その政策が「責任ある積極財政」でアベノミクスの継承であるサナエノミクスであり、保守(右)なのにアメリカに媚びる「親米ポチ」路線では、国民は貧しくなる一方ではないか。

 

 よって、私もいままでの政権より大きな期待を寄せてはいるが、冷静に考えれば、この期待は裏切られると思う。日本経済は復活などしないだろう。

 

 それにしても驚いたのは、財務大臣になった片山さつき氏が、10月24日の記者会見で、今年度補正予算の財源を聞かれたとき、財源が足りなければ国債を増発して対応すると述べたことだ。

 

■経済政策の要になる人間なのに「無責任」

 

 国債を発行し過ぎたため、円の価値が薄れ、大幅な円安になった。円安は物価高を招き、日本経済はインフレを通り越してスタグフレーションに陥った。

 

 それなのに、さらに国債を発行すれば円安は止まらなくなる。つまり、物価対策といって、ガソリン減税、年収の壁による所得減税などをしても効果などなくなる。「責任ある積極財政」と言いながら、無責任ではなかろうか。

 

 片山さつき氏は、女性初の財務大臣であり、財務省の出身である。「小泉チルドレン」として政界入りしたが、今回の高市内閣の経済政策の要になる人間である。それが、こんな発言をしていいのだろうか?

 

■かつて勉強会に片山さつき主計官を招いた

 

 2000年代のはじめ、アルゼンチンが国家破産し、その財政状況に日本財政が酷似しているのに危機感を抱いて、私は経済評論家で財政均衡主義者の森木亮氏と勉強会を開き、当時、財務省の主計官だった片山さつき氏を講師に招いたことがある。

 

 女性初の主計官がどんな人物なのかに興味があったこともあるが、それ以上に財務省が財政をどう考えているのかを知りたかった。

 

 彼女は、はっきりとこう言った。

「いまの日本の財政は危機的です。これ以上の国債発行は控えなければなりません。そうしないと、大変なことになります」

 

 あれから20数年、政治家になって「国民の声」というポピュリズムに染まると、考えを変えざるを得なくなるのだろうか。

 

■右傾化した若年層が高市内閣を支持している

 

 10月26日発表の毎日新聞の世論調査によると、高市内閣の支持率は65%、不支持率は22%である。これまでの政権発足時の支持率を大きく上回っている。

 

 高市内閣の高い支持率は、若者たちが大きく貢献している。10月23日公表の読売新聞の世論調査では、18~39歳の支持率はなんと80%にも達している。

 若年層だけではない、40~59歳でも75%、60歳以上でも63%だから、日本人は本当に「保守的」「右寄り」になったと言える。

 高市首相は、これまでのどんな首相よりも「保守的」「右寄り」である。米国メディアも、みなそう称している。

 CBSは「ウルトラ保守」(ultraconservative)、CNNは「保守強硬派」(hardline conservative)、ワシントン・ポストは「タカ派」(hawk)と呼んだ。

 

 しかし、行き過ぎた「保守化」「右傾化」は、結局、国と国民を貧しくする。保守政策、右寄り政策はバラマキを招き、カネがかかり過ぎるからだ。そのために、結局は増税しなければならなくなる。国債発行も、将来の増税である。

 

■なぜ、若者は「保守化」「右傾化」したのか?

 

 高市内閣の18〜39歳の若年層の支持率が80%にまでにもなった理由として、真っ先に挙げられているが、若者の貧困化だ。

「失われた30年」の最大の犠牲者は、この層で、彼らはいくら働いても報われないという絶望感を抱いている。なにしろ、給料は世界的に安く、しかも上がらない。生活は苦しくなる一方で、将来の展望が開けない。

 

 その結果の未婚化、少子化である。結婚もできなければ、子供もつくれない。そんななか、移民や外国人が増え、慣れ親しんだ日本社会が変質していく。

 ここに、自民党右派や参政党などが、「あなたたちが不幸なのは外国人や外国のせい。グローバル化、新自由主義が仕事を奪い、格差を拡大させた」というストリーを与えれば、右傾化するのは当然だろう。

 

 しかし、右傾化して、グローバリズムを否定し、外国人を排除し、自分たちだけでやっていこうとすれば、もっと貧しくなる。サプライチェーンが世界中で繋がり、ネットとAIで情報も世界中で共有される世の中で、保守化、右傾化は最悪の選択である。

 

… … …(記事全文5,457文字)
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