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山田順の「週刊:未来地図」
No.801 2025/10/21
円もドルも、貨幣を信用してはいけない!
金(ゴールド)こそが本当の貨幣
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維新が自民と連立することになり、高市早苗首相が誕生することになった。しかし、この自維政権の経済政策は危ない。高市ラリーを続行して株価は上昇しているが、今後はわからない。アメリカも、トランプ政権の独裁デタラメぶりで、株価の行方は不透明だ。
そこで、投資家が殺到しているのが金(ゴールド)。なんと、金価格はこの2年間で2倍になり、今後も上がり続けるのは間違いない状況だ。
そこで、今回は改めて、金とはなにか?貨幣となにかを考えてみたい。歴史をかえりみれば、金こそが本当の貨幣である。
写真 © Kitoco News
[目次] ─────────────
■この2年で2倍以上、歴史的な高騰はまだ続く!
■金利がつかなくとも買われる「有事の金」
■貨幣がない時代は金そのものが貨幣だった
■金貨→水増し金貨→コイン→紙幣というプロセス
■「金本位制」の崩壊と国家による金融の独占
■「金本位制」により「有事の金」が確立した
■大恐慌が引き起こした金本位制の停止
■ニクソン・ショックはアメリカによる踏み倒し
■いまの貨幣の価値はなんで担保されるのか?
■なぜドル基軸通貨体制は揺らがないのか?
■世界の金の金保有量はアメリカが断トツ1位
■トランプは金が大好き。大統領執務室まで金ピカに
■残された金の埋蔵量は50mプール1杯分
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■この2年で2倍以上、歴史的な高騰はまだ続く!
日米ともに株価が高騰している。欧州株も高騰中だ。しかし、それ以上に、金(ゴールド)が高騰している。1グラム当たり2万3000円を超えて史上最高値を更新。国際市場では、1トロイオンス4300ドルを突破した。
ここ2年で2倍以上、今年1年でも年初から1.6倍という高騰ぶりである。
米調査会社ファクトセットによると、今年は、金にとって1979年以降で最高の年になるという。また、メディアで伝えられる投資家、アナリストたちのコメントも、強気一辺倒で、「まだまだ上がる」ばかりである。
そのため、一般投資家は、金そのもの(金地金)はもちろんのこと、金の価格と連動する上場型投資信託(ETF)に殺到している。ETFなら、スマホ、PCで売買できるので、いまや株より人気がある。
■金利がつかなくとも買われる「有事の金」
これまでの金融の一般常識だと、金価格はアメリカの金利が上昇すると下落する。その理由はシンプルで、金は金利を生まないからだ。
しかし、現在の状況はこの金融の一般常識に反している。コロナ禍による金融緩和が終わった2022年の後半以降、長期金利のベンチマークとなっているアメリカの10年国債の利回りは4%台を維持している。にもかかわらず、金価格は上昇を続けてきた。
もちろん、株価も上がっているが、金はそれ以上に上がっている。つまり、世界中に金融緩和によってつくられたマネーが溢れて、それが、あらゆる金融資産に向かっており、その最たるものが金というわけだ。
これを逆に言うと、貨幣が価値を失っているということになる。
ただし、もう一つの経験則は生きている。それは、投資家が金に殺到するのは、好景気のときではなく、世界が危機に瀕していると思うときとされる。
世界中でインフレ率は、過去4年にわたり2%を超えている。そして、戦乱、紛争、貿易戦争が続いている。つまり「有事の金」である。
■貨幣がない時代は金そのものが貨幣だった
では、ここからは金とはなにか?その本質について、歴史的に見ていきたい。いまや金は貨幣より信用できるということになったが、それは本当なのだろうか?
そこでまず、「貨幣とはなにか?」を、AI(グーグルGemini)に聞いてみた。以下がその答えだ。
《貨幣とは、価値尺度、交換手段、価値貯蔵という3つの機能を持つ、商品やサービスの交換を円滑にする媒介物です。一般的には「お金」と呼ばれ、硬貨(紙幣ではない金属製のコイン)を指すこともありますが、広義では政府が発行する硬貨と日本銀行が発行する紙幣(銀行券)を合わせて「通貨」と呼ばれ、これらすべてを指します。》
というわけだが、ここで重要なのは、貨幣がない時代は、金そのものが貨幣だったということだ。なぜなら、金は価値尺度、交換手段、価値貯蔵という3つの機能を持っていたからである。
その意味で、金はほかの鉱物資源、また、株式、債券などの金融資産とは違うのである。しかも、金は、国家がない時代、大昔から貨幣として使われてきた。古代には貝や布などもおカネとして使われていたが、やがて金と銀だけが残った。
■現代の貨幣は、政府・中央銀行がつくり出した
金が貨幣として使われるようになったのは、希少性はもちろんのこと、ほかの金属と比べてサビや腐食に強く、小さく分けて持ち運べるなどの利便性があるからだった。
つまり、モノを売買する市場とともに、自然に金が貨幣になったのである。
これに対して現代の貨幣は、政府・中央銀行がつくり出したにすぎない。コインや紙幣を貨幣とする法律がない限り、現代の貨幣は貨幣ではない。
現在、多くの金融・経済・財政問題が起こっているが、それは国家が貨幣を独占するようになって起こったとも言えるのだ。
リバタリアンの米経済学者ウォルター・ブロックの『不道徳な経済学』によると、国家は、以下の経緯で貨幣を独占していった。
■金貨→水増し金貨→コイン→紙幣というプロセス
まずは、それまで民間業者が鋳造していた金貨を国家の独占事業にして、金をコントロール下に置いたことで始まった。
次は、金の水増しによる金貨の価値の引き下げだ。金貨にほかの金属を混ぜ、純粋な金貨をなくしてしまった。さらに、国家は、その水増しした金貨を金の分量には関係なく、額面によって流通・取引されるような法律を制定した。
ここまでなら、まだ金が使われていたのでいいが、次に国家がやったのは、金ではない金属でコインをつくり、それを貨幣として流通・取引されるようにしたことだ。
そして締めくくりと言えるのが、紙幣の印刷である。紙幣はコインよりも簡単に製造できるからだ。ただし、ただの紙切れだから、一定量の金と交換できるとした。いわゆる「兌換紙幣」である。
